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【コラム】当事者尋問の進め方

2021-08-27

当事者尋問とは?

当事者尋問とは、裁判の当事者、すなわち、原告か被告を裁判所に呼んで尋問することを言います。証人尋問という言葉を聞いたことがある方は多いと思いますが、民事訴訟法では、第三者を尋問する手続きを証人尋問、当事者を尋問する手続きを当事者尋問と呼んで、区別しています。

当事者尋問の内容は、調書に記録され、証拠となります。ただし、交通事故訴訟でいえばドライブレコーダーの画像や防犯カメラの画像のように客観性がある証拠と比べると、証拠としての力が弱いという面はありますが、裁判官が当事者の供述を直接聞くことができる手続きであるため、重要な証拠方法であることに違いはありません。また、陳述書のように一方的に述べたものと異なり、相手方による反対尋問の機会が保障されているため、証拠としての力はそれなりにあるとも言えます。

なお、当事者尋問は、民事訴訟一般に用いられる手続きですが、この記事では交通事故に関する民事訴訟を念頭に解説を書いていきます。

どのような場合に当事者尋問が行われるか

物証(物が証拠になる場合のその証拠をこのように呼びます)のみでは争点についての判断に不十分だと思われるときで、当事者の認識している事実が争点の判断において意味を持つと思われる場合に行われます。交通事故訴訟だと、過失割合、休業の必要性、後遺障害の実態、慰謝料の額の相当性、など様々な争点について、行われることがあります。もちろん、複数の問題について、事実関係が質問対象となることも珍しくありません。

なお、当事者尋問の実施は、裁判所が一方的に決めるのではなく、当事者が申請して裁判所がそれを認めるという形で行われます。

当事者尋問の事前準備

当事者尋問は法廷で行われますが、その成否は、実はそれ以前の準備の段階である程度決まっていると言っても過言ではありません。すなわち、事前の十分な準備がなければ、当日、自分の側の当事者から良い証言を引き出すことはできず、また、何が問題かを把握していなければ、反対尋問で効果的な質問をすることもできないからです。

では、事前の準備はどのように行うのでしょうか? ここでは、交通事故被害者の視点で記事を書いていますので、当方が原告だと想定します。まず、当事者尋問を行う場合、事前に陳述書を出すのが原則です。その陳述書は、それ自体証拠となるものですが、それに基づいて尋問を行います。(この点は以前の記事に書いた通りです)

陳述書の内容は当然、本人が経験した事実を書くのですが、何に触れるべきか、どの程度具体的に書くべきか、など書き方については弁護士からアドバイスをします。そうして、出来上がった陳述書や、尋問事項書等を確認しながら打ち合わせを行います。

まず、一般的な説明として、「法廷での証言なので、必ず、記憶の通り答えてください。覚えていないときは、覚えていないと言ってください」ということと、「一問一答なので、聞かれたことにそのまま答えてくださいね」という原則を説明し、それから、具体的に、どういう内容について聞く予定かを説明し、必要に応じて、リハーサルのようなことも行います。このような形で準備をしておかないと、当事者は、いきなり聞かれたから答えられなかった、あらかじめ言って欲しかった、というようなことになりかねません。それゆえ、事前の打ち合わせは重要です。

同時に、相手方の陳述書も来ているはずなので、弁護士はそれについても検討します。ここでは、反対尋問で何を聞くべきか、を、どの事実が相手方の主張の根拠になっているか、ということから考え、それを崩すにはどうすればいいか、と考えて反対尋問の質問内容を考えます。そうして、当日に、供述の矛盾や客観的事実との不一致を導き出せれば、相手の供述の信用性は揺らいだと言えるでしょう。また、重要な事項について相手方の回答が曖昧な場合も、やはり、信憑性の低さを印象付けることに成功したと言えるでしょう。この辺りは弁護士の技術であり、基本的に当事者の方に考えていただく部分ではないので、ご安心ください。

当事者尋問の流れ

当事者尋問の当日は、まず、

原告に対して

主尋問 →反対尋問 →補充尋問

の流れで行われ、その後、

被告に対して

主尋問 →反対尋問 →補充尋問

という流れで行われるのが基本です。

主尋問は、それぞれ、その当事者の代理人弁護士が行い、反対尋問は相手方の代理人弁護士が行います。補充尋問は、裁判官による尋問です。

当事者は、メモなどの文書を見ながら回答することは例外的な場合を除いて認められません。あくまで、ご自身の記憶にあることを答える必要があります。

時間は、ケースによりますが、それぞれ、1時間を超えることはまずありません。あらかじめ、主尋問20分・反対尋問20分、などという形で時間は制限されます。(上記時間は一例です)

主尋問は、自分の側の弁護士が行うのであり、あらかじめ何を聞かれるかは打ち合わせてあるわけですから、あとは、記憶の通り回答するだけであり、それほど難しくないと思います。

問題は、反対尋問です。反対尋問は相手方の弁護士が、あなたの証言の信憑性を崩すために行います。そして、反対尋問で具体的に何をどのように聞かれるかは、相手方の弁護士以外は知らないわけです。それゆえ、何を聞かれるかわからず不安、という方も多いと思います。ただ、反対尋問は主尋問の範囲に限定されるので、実際のところは、何を聞かれるのか全く分からないというわけではありません。相手方の代理人弁護士は、あなたが提出した陳述書や当方の代理人が提出した尋問事項書を参考に反対尋問で触れることを決めているはずであり、主尋問で聞かれていない全く関係ないことを聞かれることは基本的にありません。ただ、主尋問で聞かれた事項の他に、証言の信用性に関する事項も訊けることになっているので、突然関係ないことを聞かれた、と感じることもあるかもしれません。全く無関係な質問やその他民事訴訟規則で禁じられているとも受け取れる質問であれば代理人が異議を述べることもありますが、そうでなければ、慌てずに、記憶しているところを答えて頂くということになります。

当事者尋問の後

当事者尋問は、それを元に調書が作成されます。調書には尋問内容が文字化して記載されており、これは証拠となります。証拠にするために特に手続きは必要なく、その後準備書面を出す場合は、そのまま引用することができます。(ただ、当日終結のことも多いです)

*なお、簡裁の場合は調書作成が省略されることもあります。

また、当事者尋問を行なった日は、双方の当事者がそろっているということで、和解の話し合いが行われることも多いです。和解が成立すれば、そこで裁判は終わります。

和解が成立しなければ、尋問後は、それほど期日を入れずに結審となることが多いです。なぜなら、尋問は双方の主張が出尽くした後に行われるのが基本だからです。もし、早い段階で尋問をしてから争点が出てきたら、それについて再度尋問を行うのかということになり、効率が良くないので、そういうことはせず、双方の主張が出そろってから最後のほうに行うことになっています。

まとめ

当事者尋問は客観的な証拠と比べると証拠としての力は強くはないと考えられますが、反面、裁判官が直接当事者から話を聞いて心証を得る事ができる貴重な機会であり、案件によっては、結果に影響を与えることは充分にあり得ます。それゆえ、事前に弁護士とよく打ち合わせて、充分準備をした上で臨みましょう。

【コラム】陳述書とは何か?

2021-08-26

「陳述書」についての疑問

交通事故についての裁判で、陳述書を出す場合があります。陳述書というのは、どういうものでしょうか?  また、どういう意味があるのでしょうか? これらの疑問について今日はお答えしようと思います。

なお、ここでは民事訴訟について解説させて頂き、刑事訴訟については触れないことにします。

そもそも陳述書とは?

陳述書とか、当事者(原告、被告)や、第三者が、事実関係などを書いて裁判所に証拠として提出する書面です。証拠ですので、主張を書いた準備書面等とは意味が異なります。すなわち、訴状や答弁書、準備書面、は当事者が自らの主張や、相手方の主張に対する認否を述べるために提出するものであり、準備書面等にいくら自分自身が経験したことを書いても、それは証拠とはなりません。もちろん、それは、こういう事実があったという主張にはなるので、法律上の効果を生む事実であれば記載すべきなのですが、それとは別に証拠が必要です。

そこで、当事者や目撃者に事故に関する事実について書面に書いてもらって、提出することがあります。これが陳述書です。

なぜ陳述書が必要か?

物証がある場合、例えば、ドライブレコーダーの画像、防犯カメラの画像、などは強力な証拠になりますが、それらがない事案も多くあります。また、あったとしてもそれだけで充分とは限りません。それらの画像に出ていない情報が必要なこともあります。また、画像がなく、実況見分調書から事故時の状況を立証しようとすると、警察官が業務の上で作成したものなので一般的な書類よりは信憑性はあるとはいえ、やはり、一種の間接証拠なので、当時の状況を適切に表しているとは限りません。

そこで、当事者や目撃者から経験したことを裁判所に直接伝える手段として陳述書が考えられるわけです。

それ以外にも、どういう痛みがいつからいつ頃まであったか、事故によるけがで日常生活にどういう支障が出たか、仕事にどういう影響があったか、後遺障害で仕事にどの程度影響が出ているか、どういう理由で精神的苦痛が大きかったか、など当事者でないとわからなかったり、当事者がより詳しく知っていると思われる事項について立証するために陳述書が用いられることもあります。あるいは、事故の後遺障害で介護が必要になった場合に被害者本人の大変さや家族の介護の負担の立証のために家族の方の陳述書を用意する、ということもあります。

陳述書に書く内容は立証目的によって異なってきますので、一様には言えませんが、いずれの場合も、あくまで事実を書くものであり、意見を書くものではないことに注意が必要です。

陳述書が用いられる場面

陳述書は、それで事実を立証することを目的に、いわば単独で提出されることもありますが、一方で、当事者尋問や証人尋問のための準備という意味で提出されることもあります。後者の場合は、陳述書に沿って当事者尋問・証人尋問をするわけです。

では、陳述書自体も証拠になるのになぜ敢えてそれと元に当事者尋問・証人尋問をするのでしょうか。それは、陳述書が比較的弱い証拠であり、一方、当事者や第三者の証言はそれと比べれば比較的強い証拠だからです。もっとも、証言も人証ですので、ドライブレコーダーの画像や防犯カメラの画像のような客観的な証拠ほどではありませんが、陳述書よりは証拠としての力が強いと考えられています。なぜなら、尋問は相手方による反対尋問を経ているからです。反対尋問では、相手方によって証言の矛盾を突いたり、記憶が曖昧ではないか、など証言の確からしさを崩す方向で質問がなされます。また、通常、裁判官からも裁判官が疑問を持った点について補充の質問が行われます。それらを経てもなお揺るがない、合理的な証言であれば、信憑性が高いということになり、証拠としての力は強くなります。陳述書の場合は、このような過程を経ていないため、証言と比べると証明力は弱いと考えられています。

ただ、だからといって、例えば事故の目撃者が数人いるときに全員を証人尋問すれば時間がかかりすぎるし、同じ車に複数で乗っていて全員が事故の瞬間について話したいことがあるという場合に全員に尋問をするのも、やはり、訴訟の効率を考えると難しいでしょう。そのような場合に、1名だけを尋問して、残りの方からは陳述書を出してもらう、というような方法も考えられます。あるいは、目撃者が協力はするけど出廷まではしたくない、という場合も、陳述書の提出だけにする、ということも考えられます。陳述書は、当事者尋問・証人尋問、と比べると、比較的負担を少なく用意できる点はメリットですが、ただ、証拠としての力は、さほど強くはないと考えておくべきでしょう。

もっとも、上記のように、当事者尋問・証人尋問の準備として出すこともあり、その場合は、主尋問で何を聞く予定かということについて自分の依頼している弁護士と打ち合わせをしておくことはもちろん、反対尋問で何を聞かれるかも想定して、よく内容を練る必要があります。

「陳述書」について迷ったら

陳述書について迷ったら、当事者の方の場合、依頼している弁護士に相談しましょう。もちろん、自身の経験した事実を裁判官に伝えるためのものであり、事実を正確にかくべきであることはいうまでもありません。しかし、どういうことに触れるべきか、記憶やや曖昧な場合は書かない方が良いのか、その時の自分の感情についても述べるべきか、など書いていると迷うことも多いと思います。それゆえ、弁護士に依頼して訴訟を行なっている場合は、依頼している弁護士に相談することをお勧めします。

第三者の立場で陳述書の作成を頼まれている場合も、原告・被告いずれかの側から頼まれているはずなので、頼んできた側の代理人弁護士に書き方については聞いてみると良いと思います。

このように、訴訟の進行の中でどうしてよいか迷ったときに専門家である弁護士に相談できるということも、交通事故訴訟に関して弁護士に依頼するメリットの一つだと言えるでしょう。

【コラム】加害者の態度が悪かったことによる慰謝料の増額

2021-08-25

慰謝料の標準的な決定方法

交通事故の慰謝料には、入通院慰謝料と後遺障害慰謝料があります。入通院慰謝料は入院・通院の期間に応じて計算がなされ、後遺障害慰謝料は1級から14級の後遺障害等級認定に基づいて決まるのが原則です。その計算方法はいわゆる「赤い本」に記載されており、実務においては概ねこれに沿った計算が採用されています。
このように計算方法を示すことで、客観的な事実関係に基づいて公平な算出ができるように工夫がされているということができます。

加害者の事故後の態度を理由とした増額は可能か?

では、加害者の事故後の態度が悪かったことを理由に増額を求めることはできないでしょうか? すなわち、事故被害者から見れば、加害者が不誠実な態度をとった場合には、それだけ精神的苦痛が増すのだから、慰謝料を増額されるべきであるとの思いがあっても不思議ではありません。また、慰謝料は被害者の精神的苦痛に対して加害者が支払わなくてはならないものですから、被害者の精神的苦痛の程度を考えて増額するということは筋が通ったことにも思えます。もちろん、公平な計算ができるように客観的な事情から慰謝料の額を計算できる一般的な計算方法を示したところに「赤い本」の表の意義はあるのですが、しかし、個々の事情を一切考慮しないこともまた公平ではなく、被害者救済に反することになってしまうでしょう。
そこで、裁判例も、加害者の被害者に対する態度や、取り調べに対する対応、刑事裁判での態度、などによって慰謝料を通常より多く認めているケースがあります。

慰謝料の増額が認められた代表的な事例の特徴

慰謝料の増額が認められた事例で、その理由として挙げられた事故後の事由として、

  • ひき逃げ(救護義務・報告義務違反)
  • 自分の責任を否定して損害賠償を拒んでいたこと
  • 刑事裁判で虚偽の供述をしたこと
  • 車の修理などによる隠蔽工作
  • 警察の取り調べに対する対応(例えば、警察官に別人が運転していたと述べたこと、事実と異なる加害者に有利な調書が作成されていることに気が付きながら訂正を求めなかったこと、など)

などがあります。(「赤い本」2021年版237頁~244頁参照)
なお、これらの事案では、事故の態様(飲酒運転やよそ見運転など)も併せて考慮された結果、慰謝料が増額されている事案も多いです。

納得がいかない場合は弁護士に相談を

加害者の不誠実な態度として被害者にとって納得がいかない事情は上記に限られるものではありません。加害者の様々な不誠実な行動が被害者を苦しめているのは事実であり、それらによる苦痛が、交通事故における通常の損害賠償で填補しきれない程度に達している場合は、「赤い本」の表による算定を超えて慰謝料が認められるべきであるということは、充分理のある事だと思います。
加害者の態度を理由とした慰謝料の増額は、任意保険会社との交渉で認められる場合もあり、必ずしも訴訟をしないと認められないわけではありません。もちろん、増額が認められる場合もあれば、「赤い本」の表を上回ることは難しい場合もありますが、いずれの場合でも、弁護士はそれぞれの事案に応じた適切な賠償を得られるよう、交渉に尽力いたします。
交通事故の被害に遭い、加害者の態度に納得がいかないという場合は、まずは、弁護士にご相談ください。

【コラム】任意保険に入るべき理由

2021-08-24

任意保険と自賠責の違い

自賠責は政府が加入を義務付けており、入らずに自動車を運行することは違法になってしまいます。つまり、加入は強制です。これに対して、任意保険は加入するかどうかは各運転者に任されています。
また、自賠責で補償されるのは人身損害だけですが、任意保険は人身、物損、いずれも補償範囲となります。
さらに、自賠責は補償の上限があり(障害120万円 後遺障害は原則3000万円で常時介護の場合のみ4000万円)、各項目の額も比較的低い額が定められていますが、任意保険は人損について上限がない保険が多く物損もかなりの額をカバーするものが多いです。さらに、実際に生じた損害を補償するのが原則です。

自賠責のみに加入していて事故を起こしてしまった場合

自賠責に加入していれば、任意保険に加入せずに車を運転しても、そのこと自体は違法ではありません。しかし、任意保険に加入していない状態で事故を起こしてしまうと、以下のような問題が生じ得ます。

  • 自賠責の上限を超える額については自己負担になってしまう。(例えば、(後遺障害ではない)障害なら120万円を超える部分)
  • 自賠責の基準を超える部分は自己負担になってしまう(例えば、後遺障害等級12級の後遺障害慰謝料は自賠責だと94万円ですが、「赤い本」基準だと290万円)
  • 物損については自賠責は補償しないので、自己負担になってしまう

ここで、自己負担というのは、被害者に支払うべき損害賠償を加害者が自ら負担しないといけない(保険を使うという形で対応できない)ことを指しています。そうすると、比較的損害が小さければ自己負担をしてもそれほどの額にはならないでしょうが、もし、被害者の方が後遺障害、それも重い後遺障害を負ってしまうと、加害者はその損害賠償を自らの負担でしないといけなくなり、支払い切れない恐れもあります。
そして、そのことは被害者が困るというだけではなく、事故の刑事責任を追及される場合に損害が補償されていないということで重い処分につながる恐れもあります。
したがって、被害者のためにも、加害者自身のためにも、任意保険には入っておくべきだと思います。もちろん、事故を起こさないのが一番ですが、注意していても起きてしまうことはあるので、任意保険には入っておくべきだと思います。

任意保険と弁護士特約

たいていの任意保険には弁護士特約を付けるというオプションが存在します。弁護士特約に加入しておくと事故に遭ったときに弁護士費用を出してもらうことができます。自分だけではなく家族も使えるようなプランもあります。弁護士特約の内容は保険会社により、また、プランにより、異なりますので、詳しいことは保険会社にお問い合わせください。弁護士特約に入っておけば、事故に遭ったとき、過失割合や慰謝料の額、休業損害、などで納得がいかないことがあったときや、後遺障害の等級認定の申請に関して専門家に依頼したい、という場合に、弁護士費用を気にせずにご依頼ができますので、ぜひ、弁護士特約についても加入をご検討頂ければ、と思います。

【コラム】訴訟をすれば必ず金額が増えるのか?

2021-08-17

保険会社との任意交渉で「赤い本」の表通りの提案が来るとは限らない

交通事故の被害について、本人が相手方保険会社と交渉すると、当初は自賠責と同じレベルの慰謝料を提案してくるなど、かなり低い額での提案が来ることも多いです。そこで弁護士が入ると、慰謝料について、「赤い本」の満額で提案が来ることもありますが、8割か9割しか応じられないという回答が来る場合もあります。そういう場合、訴訟にすれば、確実に金額が増えるのでしょうか?

そもそも「赤い本」とは?

いわゆる「赤い本」は、正式には『民事交通事故訴訟 損害賠償額算定基準』(日弁連交通事故センター東京支部編)です。発行しているのは日弁連交通事故センターであり、公的機関によるものではありません。もちろん、法的拘束力があるわけでもありません。しかし、判例を分析して作成されたものであり、裁判所でも基本的には、この本の記載されている基準に従って判断されることが多いです。
そこで、「赤い本」の基準のことを裁判所基準ということもあります。

訴訟にすると

では、裁判所基準というくらいなので、訴訟にすれば、必ず、この基準に従った金額になるでしょうか? 実は、そうとも限りません。なぜなら、以下のような争点が顕在化することがあるからです。

① 事故と治療の因果関係

治療を受けたことやそのために費用が発生したことは診断書や診療報酬明細書から認められるとしても、その治療が交通事故の結果必要になったものかというところで争われることがあります。被害者の心情としては、事故に遭わなければ病院に行くわけがない、と一蹴したいところだと思います。しかし、事故の後すぐに病院に行かずに少し間が空いている、途中から異なる部位を治療している、本件事故の結果生じるとは考えにくい症状についても治療している、以前から同様の症状があってそれを治療している、などで、本件での治療は事故と因果関係がないと反論されることがあり、治療したのが事故から生じた症状であることを合理的に説明できないと、治療の必要性が認められないことになりかねません。そうすると、治療費はもちろん、通院慰謝料も認められないことになってしまいます。

② 治療期間の適切性

上記①とも関連しますが、仮に事故から一定期間の治療については事故との因果関係が認められたとしても、ある時期以降の治療は必要なかった、あるいは、事故との因果関係がない症状についての治療である、とされると、その時期以後の治療費は認められず、入通院慰謝料の対象となる期間もその時期までとなってしまいます。

③ 休業の必要性及び期間の適切性

治療の必要性や期間の適切性とは別に、休業損害の必要性と期間の適切性の問題が生じ得ます。すなわち、負傷したからといって仕事ができなくなるとは限らず、また、事故当初は休まざるを得なかったとしても、実際に休んだほどの長期間休む必要はなかったということで一定の時期以後の休業について必要性を争われる場合があります。

④ 後遺障害による逸失利益について

後遺障害が認定されると、その等級に基づいて決められた労働能力喪失率と従来の収入、それに労働能力喪失期間に対応するライプニッツ係数をかけあわせて逸失利益を計算できます。
しかし、現実に収入の低下がないから逸失利益はない、あるいは実質的には労働能力の喪失はない、というような反論が出てくることがあります。醜状障害の場合にはよく主張されますが、それ以外の場合でもありうる主張です。

⑤ 過失割合

過失割合についても、争いが生じ得ます。追突やセンターラインオーバーの場合のように原則10:0という場合もありますが、多くの場合、例えば、車線変更に伴う同一方向進行の四輪自動車どうしの場合は原則7:3、路外から入ってくる車と直進車の場合は原則8:2、などという形で双方に過失があるのが原則となっています。
それを必要に応じて具体的な事実に基づいて修正して、過失割合を確定させるのですが、双方の見解が食い違うと、最終的には裁判所が判断することになります。したがって、必ずしも被害者の考えていた割合が認められるとは限らないということになります。

⑥ その他

物損に関してまだ示談していない場合は、修理費や評価損、全損の場合の買い替え諸費用、などについて争われる可能性があります。また、上記以外にも、付き添い費、入院雑費、通院交通費(タクシー利用時は特に)、など様々な項目について争われる可能性が出てきます。

上記のように、訴訟では様々な項目について争われる恐れがあります。上記は代表的なものを列記しましたが、他にも争点が出てくる可能性はあります。提訴前に保険会社側からそのような主張が出ていなかったとしても、訴訟に移行することで相手方も改めて事故に関する資料を精査して新たな争点を組み立てて主張してくるということがあり得ます。そして、もし、保険会社側の主張が通ってしまうと、交渉の際の提案より低い金額になってしまうこともあり得ます。
もちろん、あくまで可能性あり、逆にすべての争点で原告(被害者)勝利となり、金額が大幅に増える場合もあります。判決の場合は、入金までの利息日まで民事法定利率による利息が付くこととなっており、また、弁護士費用として認容額の1割を別途認められるのが一般的なので、その分も考えれば、訴訟でうまくいけば金額が増えるのは事実です。

判断が付かないときどうするか?

保険会社に言われた額で示談するか、訴訟をするか、判断が付かないときは、どうすればよいでしょうか? これについては、弁護士に依頼していれば、弁護士が記録を精査し、訴訟をした場合のメリットとリスクについて検討、その上でご依頼者様に説明します。その上で、訴訟をするかどうか、をご判断いただければ、と思います。もし、よくわからないからまかせる、ということであれば、弁護士に判断で方向性を決めて進めていくということになると思います。
当事務所でも、多くの交通事故訴訟を扱ってきたので、経験を踏まえて検討、判断を行いご依頼者様に説明することができます。まずはご相談ください。

【コラム】四輪車どうしの正面衝突の過失割合

2021-08-10

1, 正面衝突事故の過失割合の原則

センターラインがある道路での片方の車のセンターラインを越えて走行したために起きた事故については、過失割合は原則として、10:0とされます。(判例タイムズ38【150】図) 道路の左側を走ることは道交法で定められており、かつ、センターラインがある場合はどこまでが左側であるかは明白なので、それを逸脱して走行した側が責任をすべて負うというのが基本的な考え方です。逆に言えば、左側の車線内を走るというルールを守っていれば、対向車との関係では、原則として、過失はないということです。
あくまで原則なので、車線内を走行していた方の車にも回避可能性があった場合等には修正される場合があるとされていますが(同図の解説参照)、例外的な場合であり、センターラインオーバーの事故の大半が10:0で解決されていると思われます。
もっとも、例えば、見通しが良い道路で、対向車がわずかにセンターラインを越えて走ってきているのがかなり手前から見えて、少しハンドルを左に切れば回避できたのに、漫然と車線内のセンターライン寄りを走行して衝突した、というような場合は、車線内を走行していたとしても過失あり、とされる可能性はあると思います。

なお、上記判例タイムズ150図で例外的に10:0にならない場合として例示されているのが、車線内を走っている側の車に著しい過失や重過失があった場合です。すなわち、著しい過失(15km以上30km未満の速度違反、酒気帯び運転、携帯電話で話しながらの運転、など)があれば10ポイント、重過失(30km以上の速度違反、酒酔い運転、居眠り運転、など)があれば20ポイント、車線内を走っていた側の車にも過失が認められることになります。  
もっとも、その場合でも、車線をはみ出した側の車の速度違反や追い越し禁止場所での追い越し、著しい過失、重過失、などにより、センターラインオーバーの車に不利な方向に修正がなされうることになっています。
このように、センターラインオーバー事故でも個別の要素により過失割合が修正される場合はあるので、納得がいかない場合には、個々の事実関係を丁寧に検討して主張していくことが必要です。

2, センターラインがない場合

センターラインがない場合については、上記判例タイムズの解説は「余り幅員が広くなく中央線の表示もない道路」については、規範の明確性に差があり、対向車の進路に対する相当の注意が要求されてしかるべき、という趣旨の記載があります。ここで規範というのは道路の左側を走るべき、との規範のことだと解されます。センターラインの有無だけではなく道路の幅にも言及していることには注意が必要ですが、この記載を見る限り、道幅が狭くセンターラインがない場合は、必ずしも10:0にならないと考えられます。
センターラインがない場合については、双方の車両の走行の状況に照らして、個別に判断することになるでしょう。

3, まとめ

対向車との衝突事故においては、センターラインがあるかないか、にまず注目する必要があります。その上で、センターラインがあった場合は、基本的に、判例タイムズ【150】を適用し、修正要素を検討しましょう。ただし、道交法17条5項各号に該当して道路中央から右の部分にはみ出して通行することができる場合には図【150】は適用されないことが明示されています(タイムズ283頁)。すなわち、図【150】は左側を走行しないといけないという道路交通法上の決まりがあるがゆえに原則10:0としたのであって、その前提が当てはまらない場合には、適用されないわけです。その場合は、下記の場合同様、個別の検討が必要です。
一方、センターラインがない場合は、道路の状況と双方の車の走行の状況に応じて個別に過失割合を検討する必要があります。
センターラインオーバーの事故が起きやすいケースとしては、追い越しの場合、急カーブの場合、駐停車車両を追い越す場合、等が挙げられます。個々の状況に応じて過失割合が10:0とは異なる場合があるので、注意して検討しましょう。相手方(保険会社)の主張に納得がいかない場合は、まずは交通事故案件を多く扱っている弁護士にご相談頂ければ、と思います。

【コラム】「もらい事故」で自分の保険会社が対応してくれないわけ

2021-07-22

1,「もらい事故」とは?

 「もらい事故」という言葉を聞いたことがあるでしょうか? これは、被害者に全く過失がない事故のことを言います。例えば、交差点で信号待ちをしていたところ追突された、相手方がセンターラインをオーバーして突っ込んできた、というような場合は、通常は被害者側には過失はないということになります。*あくまで一般的な話であり、上記類型においても例外的に被害者に過失が生じる場合もないとは言えません。

 過失割合でいうと、10:0ということになります。

 「もらい事故」という言葉は法律用語ではなく、一般的に使われている言葉なのですが、わかりやすいので、このコラムでも使います。

 「もらい事故」の場合は、被害者から見れば、何も落ち度はないので、当然、被害全額を加害者に弁償してほしいと思うでしょう。加害者に任意の保険会社が付いていればその保険会社と交渉する、加害者に任意保険会社が付いていなければ自賠責に被害者請求しつつそれではまかなえない部分を加害者本人に請求する、のが基本です。任意保険に入っている場合、交渉を代行してほしくて自分の任意保険会社に連絡するかもしれません。ところが、「もらい事故」の場合、自分の保険会社は動いてくれません。これはなぜでしょうか?

 

2,「もらい事故」で自分の保険会社が動いてくれないわけ

 「もらい事故」では自分の保険会社は交渉を代行してくれません。示談代行が契約に含まれていても、「もらい事故」の場合は、代行してくれないのです。これはなぜでしょうか?

 実は、示談代行は、自身の保険会社が相手方への支払い義務を負うから、その交渉も含まれているということで、適法と解されています。つまり、本来、他人の示談代行を弁護士以外が行うと弁護士法違反になってしまうのですが、示談代行は保険会社として被害者に損害賠償をする義務があるのでそれに関する交渉をするという理屈で適法だと解釈がされています。ところが、被害者側の過失がゼロだと、被害者の保険会社は相手方に補償として支払うべきものがありません。そうすると、自身の義務に関する交渉として適法性を主張する余地がなくなってしまうのです。それゆえ、被害者に過失がない場合(「もらい事故」の場合)は被害者の保険会社は示談代行を行うことができないのです。

 

3,示談代行を使えない場合

 示談代行を使えない場合は、被害者の方は、弁護士に依頼すれば、交渉や場合によっては裁判を代理で行なってもらうことができます。車の修理代、評価損、代車費用、(全損の場合の)買い替え諸費用、など物損の交渉、治療費、入通院慰謝料、休業損害、など人身傷害に関する損害賠償請求、さらには自賠責への後遺障害等級認定の申請(被害者請求)と認定後の後遺障害慰謝料や逸失利益の請求、など様々な交渉・申請を弁護士が代理で行うことができます。

4,弁護士にご依頼いただくメリット

 弁護士に依頼いただくことで、相手方保険会社ないし本人と直接やり取りをする負担から解放されることはもちろん、各項目につき法律上正当な請求をすることができるようになります。これは、ご自身ではなかなか計算が難しい、という問題もあり、一方で、相手方保険会社は特に慰謝料については自賠責の基準やそれに近い任意保険会社基準で提案してくることが多いので、弁護士に依頼したほうが本来の裁判所基準(赤い本基準)かそれに近いところで示談できることが多く、結果として、金額が大幅に増えることが多いということを意味します。休業損害についても被害者に不利な計算方法になっている場合もありますので、その点も弁護士が入れば、正当な金額で主張していきます。これは一例で、弁護士に依頼いただくことで、ご自身の正当な権利(損害賠償請求)を実現していくことができるというメリットがあります。

 なお、これらのメリットはご自身にも過失がある場合でも基本的に同じです。したがって、双方に過失がある事故の場合も、ぜひ、交通事故に詳しい弁護士にご相談頂ければ、と思います。当事務所では、相談だけなら無料なので、まずはご相談頂き、その上で、依頼をするかどうかを決めていただければ、と思います。

 

5,当事務所への相談方法

 まずは、お電話か電子メールでご予約の上、事務所にご来訪ください。直接、弁護士とお話しいただくことができます。

 なお、入院中なので来訪が難しい場合は、まずはお電話でご相談頂き、退院後にご来訪頂く、あるいは、弁護士が病院まで出張相談に行く、ということも場合によっては可能です。まずはお問い合わせください。

【コラム】交通事故に関する時効について

2021-06-07

消滅時効とは?

交通事故の損害賠償にも時効があります。すなわち、民法の定める時効の期間が経過すると、請求ができなくなってしまうのです。もっとも、正確に言うと、時効期間経過後に請求した場合に、相手方が時効を援用すれば請求が認められなくなるということであり、とりあえず請求してみるということはできますが、相手に知識があれば時効を援用してくるでしょうから(そして、知識がなくても調べたり弁護士に相談すればすぐにわかることなので)、時効が完成してしまうと、まず請求は認められなくなると考えてよいでしょう。そこで、時効完成前に請求することが不可欠と言えます。
 令和2年4月施行の民法改正で損害賠償請求についての時効に関する改正があったので、ここで消滅時効について解説をさせて頂きます。

時効になるのはいつ?

時効が完成するまでの期間

では、いつから、何年経つと、時効になるのでしょうか? まず、交通事故は過失による民事上の不法行為ですから、不法行為による損害賠償請求の時効が適用されます。ここで、以前は、損害と加害者を知ったときから3年で消滅時効が完成する、また、不法行為から20年経過すると除斥期間となり、請求できなくなる、という形で、不法行為の性質に関わらず期間は同じでした。
しかし、令和2年4月施行の改正民法では不法行為に基づく損害賠償請求権の時効について、改正がありました。 
まず、724条では「不法行為による損害賠償の請求権は、次に掲げる場合には、時効によって消滅する。
一 被害者又はその法定代理人が損害及び加害者を知った時から三年間行使しないとき。
二 不法行為の時から二十年間行使しないとき。」とされています。ここだけ見ると、以前と同じ3年で時効になるように見えます。
ところが、724条の2において、「人の生命又は身体を害する不法行為による損害賠償請求権の消滅時効についての前条第一号の規定の適用については、同号中「三年間」とあるのは、「五年間」とする。」と定められています。すなわち、生命または身体を害する不法行為の場合については、時効は5年となったわけです。交通事故における人身損害は、加害者の過失による生命または身体を害する不法行為ですから、時効は5年となります。
ただ、注意しないといけないのは、「人身事故」であっても、物損部分は、724条の2に当てはまらないので、3年で時効になることです。例えば、「自転車で走っていたら、自動車に衝突されてケガをした。自転車も壊れた」という場合、怪我に関する損害(慰謝料など)は5年で時効になりますが、自転車の修理代など物損部分は3年で時効になってしまいます。

起算点に関する議論

また、時効については、起算点という概念があります。これは、時効の期間をいつから数えるかということです。3年、5年、といっても、どこから数えるか、がわからないと、いつ時効になるか、がわかりません。
交通事故の場合、入通院慰謝料、治療費、物損、など事故そのものによる損害は事故日から数える、後遺障害慰謝料や逸失利益など後遺障害認定から数える、というのが原則的な考え方です。もっとも、入通院慰謝料など後遺障害以外を原因とする人身損害についても症状固定日を起算点とするという考え方も有力です。ただ、ここは争いがあるところなので、事故日が起算点だという前提で、時効にかからないように注意していくべきだと思います。
時効については、進行を止めて期間をゼロに戻す方法があります。改正前の民法では「中断」と呼ばれていましたが、改正法では「更新」と改められました。更新の方法として、典型的なのは、訴訟の提起です。時効完成前に訴訟を提起すれば、取り下げない限り、訴訟途中で時効にはなりません(147条1項)。その他、相手方の承認により時効を更新する方法(民法152条)もあります。
また、「協議を行う旨の合意による時効の完成猶予」という制度も今回の民法改正で創設されました(民法151条)が、これは書面による合意が必要であり、期間にも制限があります。その他、催告では6ヶ月時効完成を遅らせる効果しかなく(150条1項)、繰り返しても効果を生じない(150条2項)のは改正前と同じです。

改正法施行前の事故で時効が未完成の場合

令和2年4月1日の改正民法施行日において、まだ時効が完成していない損害賠償請求権については、時効について、改正法が適用されます。すなわち、附則35条の「不法行為等に関する経過措置」によると、施行日の時点ですでに改正前の民法で時効が完成していた場合は、改正法を適用しないとされています。一方、その時点で時効が完成していない場合は、上記経過措置が適用されないため、改正法が適用されるということになります。

弁護士にご相談を

時効については複雑なので、早めに弁護士にご相談頂きたいと思います。なお、ご依頼いただければ、弁護士のほうで、時効にかからないように早めに交渉や訴訟を進めていきますので、ご安心ください。

【コラム】交通事故被害者の方が弁護士に依頼するタイミング

2021-03-06

交通事故の被害者の方が弁護士に依頼するのはどのタイミングが良いのでしょうか?

考えられるタイミングをいくつか挙げてみます。

1、事故直後

 事故直後に依頼するメリットとしては、

・加害者側の保険会社や加害者本人とのやり取りをすべて弁護士に任せることができる

・物損については早期に和解する場合が多いがその交渉も弁護士に任せることができる

・過失割合について揉めている場合には証拠(防犯カメラなど)が失われる前に弁護士が動くことができる

・治療について補償という観点からの意見を弁護士に聞くことができる

という点を挙げることができます。

 

2、治療中

この段階で依頼するメリットとしては、

・比較的早い段階で依頼することでその後のやり取りを弁護士に任せることができる

・加害者側の保険会社から治療打ち切りを言われた場合に弁護士に治療継続へ向けた交渉を頼める

・いつ症状固定にするのが良いのかという点についても相談できる

という点を挙げることができます。

 

3、症状固定時

この段階で依頼するメリットとしては、

・後遺障害等級認定の申請(自賠責保険に対する被害者請求)を弁護士に任せることができる

ということが挙げられます。もちろん、1,2の時点でご依頼の場合も、これは可能です。

 

4、等級認定後

弁護士への依頼をご希望の場合は、遅くてもこの段階にはご依頼いただく形になりますが、敢えてこの段階まで待つ必要はなく、事故直後や治療中にご依頼いただければ、弁護士も被害者の方に対して多くのサポートをできると思います。

 また、上記のように列記しましたが、事故直後にご依頼いただければ、上記2以降に挙げたメリットはどれも当てはまるわけで、まずは早めにご相談頂ければ、と思います。

 

5、無料相談について

 多摩中央法律事務所では、交通事故については、相談だけなら無料です。まずはご相談ください。その上で、依頼をするかどうか、ご検討いただければ、と思います。なお、弁護士特約を利用してのご依頼も歓迎いたします。

【コラム】交通事故の被害者が弁護士に依頼するメリット

2020-11-03

交通事故の被害者が弁護士に依頼するメリットとしては、どのようなものがあるでしょうか?

 

1、加害者側の保険会社の担当者と話をしなくてよくなる

 弁護士にご依頼頂ければ、以後、加害者側の保険会社との交渉はすべて弁護士が行います。

ご本人様は保険会社の担当者と話をしなくてよくなります。

 

2、後遺障害の被害者請求や異議申し立てについて弁護士のサポートを受けられる

 後遺障害の認定には加害者側の保険会社を通す事前認定という方法と、自賠責を通す被害者請求があります。被害者請求の方が必要に応じて各種書面を出せるので被害者請求の方が望ましい場合があります。ただ、この際、どのような書類を出せばよいか、は専門的な知識がないと判断が難しいところです。そこで、弁護士に依頼頂ければ、必要に応じてアドバイスをします。

 被害者請求の結果が思わしくなかったときに行う異議申し立てについても、同様にサポートが可能です。

いずれの場合も、必要に応じて、弁護士が意見書を書くこともあります。また、医師面談に同行することもあります。

 

3、慰謝料や休業損害について適切な金額を請求できる

 慰謝料に関しては、自賠の基準任意保険会社の基準だといわゆる裁判基準に照らしてかなり低く、不十分な額と言わざるを得ません。たいていは、保険会社は自賠基準か任意保険会社基準で提示してきますが、弁護士が交渉すると裁判基準(赤い本の基準)かそれに近いところで示談できる場合が多く、判例に照らして充分な補償を受けることが期待できます。特に、後遺障害が残る場合は、入通院慰謝料の他に後遺障害慰謝料も請求できるため請求額も大きくなりがちであり、そうすると、保険会社提案額と適正な額の差額も大きくなりがちです。それゆえ、後遺障害が残る場合は、弁護士に依頼することの必要性は高いと言えるでしょう。もちろん、入通院慰謝料だけでも数十万円の差が出ることもありますので、多くの場合依頼のメリットはありますが、後遺障害が認定される場合はなおさら、ということです。

 また、休業損害についても、日当の計算やどの時点までが休業期間として認められるか、などで揉めることもあり、やはり、代理人弁護士による専門的な見地からの検討を行うことが望ましいと言えます。

 

4、まとめ

 このように、交通事故について弁護士に依頼すると、相手方保険会社の担当者と話さなくてよくなる後遺障害の等級認定に向けて専門的な見地からのサポートを受けられる、慰謝料や休業損害について充分な額での補償を期待できる、などのメリットがあります。

 さらに、過失相殺など論点がある場合や、物損の修理代や評価損などについて争われている場合も、まずは弁護士への相談が望ましいと言えるでしょう。

 いずれにせよ、ご依頼によりメリットが大きいかどうか、費用との関係ではどうか、についてはご相談の際にご説明します。当事務所では、交通事故については、相談だけなら無料なので、まずはご相談ください。

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