Archive for the ‘交通事故の治療’ Category

【コラム】健康保険を使った方が良い場合

2020-08-09

交通事故にあって病院で治療を受ける場合、治療費の支払い方には、健康保険を使用し、全体の医療費のうちの自己負担分の3割(現役世代の場合)を支払えばよい保険治療と、全額の医療費が自己負担分となる自由診療の2種類があります。交通事故の場合には、健康保険は使えないと思っている方もいらっしゃるかもしれませんが、一定の手続き(第三者行為被害届の提出)を経れば使用可能です。

交通事故の加害者が任意保険に加入している場合には、自由診療扱いにして、相手方保険会社が医療費全額を医療機関に直接支払うことが多いです(任意一括)。しかし、加害者が任意保険に加入している場合であっても、あえて被害者自身の健康保険を使用して、保険治療とした方がよい場合があります。このコラムでは、保険治療を行った方が良い場合について、解説します。

 

1 こんなに違う 自由診療と保険治療

保険治療の場合、医療費は公定され、全国一律です。具体的には、医療行為毎に点数が定められ、1点=10円で計算されます。さらに、実際に患者さんが窓口で支払うのは、この医療費に年齢に応じた自己負担割合(1~3割)をかけた金額であり、残りは健康保険から医療機関へ支払われる仕組みになっています。

一方、自由診療の場合には、1点いくらとして計算するかは医療機関毎に異なり、1点=20円程度で計算されることが多いです。そして、全額自己負担です。

そのため、たとえは、現役世代の方が、保険点数が1000点の医療行為を受けた場合、保険治療であれば、自己負担額は、3千円(1000点×10円×3割)ですが、自由診療では2万円(1000点×20円)程度になります。

 

2 相手が任意保険に加入している場合には自由診療が多い

交通事故の加害者が任意保険に加入している場合には、自由診療扱いにして、相手方保険会社が医療費全額を医療機関に直接支払うことが一般的です。

ただし、下記に述べるように、被害者に過失があると思われる事案等では、相手方任意保険会社が健康保険の使用を勧めてくれることもあります。

 

3 健康保険を使用した方がよい場合

(1)加害者が任意保険に加入していない場合

加害者が任意保険に加入していない場合には、被害者の方がまずは一端医療費を立て替えて医療機関に支払うことが必要になるでしょう(その後、当該医療費を自賠責保険にまずは請求をした上で、それでは足りない部分を加害者本人に請求することが一般的です)。この立て替えた医療費を確実に回収するために、なるべく医療費総額を抑えておくことが望ましいので、健康保険の使用がお勧めです。

(2)被害者にも過失がある場合

被害者の方に過失がある場合、被害者側の責任相当額が賠償総額から差し引かれることを過失相殺といいます。例えば被害者の方に2割の過失がある場合、慰謝料なども含めた賠償総額から過失分の2割分が差し引かれ、8割分だけが被害者に支払われます(自賠責に対する請求のみの場合には異なります)。これは医療費単体で見ると、かかった医療費の8割しか相手に負担してもらえず、残りは自己負担となってしまうということです。そうすると、自己負担額を少しでも抑えるために、健康保険を使用して、医療費総額をなるべく低額にしておくことが必要です。

被害者の方に過失があることが明らかな場合には、相手方の任意保険会社が健康保険の使用を最初から勧めてくれることもありますが、そうでない場合には、被害者の方自身で健康保険適用の申し出をする必要があります。また、治療が全て終了して示談の段階になって初めて、過失の話が出てくる場合もあり、結果過失が認められてしまうと、自由診療の場合、自己負担となってしまう金額が高くなってしまいます。少しでも被害者に過失が認められる可能性がある場合には、健康保険の使用がお勧めです。

(3)素因減額の可能性がある方

今回の交通事故で負傷した部位に、事故前から疾患を抱えていたという方は、事故前から存在していた疾患が原因で今回の交通事故の治療が長引いたり症状が重くなって損害が拡大したと認められてしまうと、上述の過失相殺と同じ処理がなされる可能性があります(素因減額)。過失相殺同様、素因減額も治療終了後示談の段階になって初めて出てくることもあるので、素因減額の可能性がある方は、健康保険の使用をお勧めします。

 

4 まとめ

以上、健康保険を使用した方がよい場合について説明させていただきました。一度自由診療で診察を受けて支払いを完了してしまうと、その分を遡って健康保険適用にしてもらうことは原則としてできません。「健康保険を最初から使っておけばよかった!」と示談の段階になって後悔しないように、このコラムが参考になれば幸いです。

 

【コラム】<保険会社から対応拒否された場合>

2020-04-22

交通事故の被害者なら、加害者側の保険会社から治療費などの支払をしてもらって当然であり、一時立て替え含め1円も負担する必要がない・・そのように考えている人は多いのではないでしょうか。

 

しかし、実際には、加害者側から対応を拒否されるケースが存在します。弊所で多く見かけるのは以下の3パターンです。

・最初は治療費対応していたが、途中から「これ以上の治療は不要」として打ち切られるケース

・最初から治療費対応しないケースのうち、事後的に請求すれば支払うと対応してくるケース

・最初から治療費の対応をせず、事後的に請求しても支払い拒否をするケース

 

このような対応をされた場合、被害者はどのように対応すべきか、ここでは触れたいと思います。

 

1.主治医と相談の上、治療を続ける

 保険会社から治療費を支払われない=治療をしてはいけない、ということではありません。①交通事故によって負った怪我であること②怪我を直すために治療が必要なこと③治療に効果があること、の3点を明らかにできるのであれば、事後的に治療費を請求することは可能です。

 主治医と上記3点について相談の上、治療を続けましょう。場合によっては、医師から意見書などを取り付けることも重要です。

 

2.自賠責保険へ請求する

 相手運転手が加入している自賠責保険へ、通院した期間の治療費・通院交通費・慰謝料・休業損害などを請求しましょう。

 自賠責保険への請求は、治療が途中であっても可能ですし、治療費用を病院へ支払う(立替る)ための仮払金を請求することも可能です。

※これによって、治療費など立替部分を回収できる場合が多いです。

 

3.相手保険会社へ請求する

 自賠責保険からの支払は、自賠責保険会社内の基準に沿ったもののため、損害の全額は支払われないことが多いです。

 そのため、差額部分については、相手保険会社へ請求することとなります。

 

4.弁護士へ依頼することの必要性

 よく、「まだ治療中なのに弁護士に相談するのは早すぎる気がする」「そもそも交通事故は弁護士に依頼すべきなのか」との声を耳にします。

 確かに、自賠責保険への請求は、書類を揃えることがメインになるため、本人ですることは可能ですし、治療中の段階では、弁護士が積極的に動くとは限りません。

 しかし、自賠責保険へ請求するための書類の収集には手間がかかりますし、自賠責保険も必ず立替部分について支払うわけではありません。また、治療中であっても、現在の治療状況によっては医師からの意見書などを取り付ける必要があったり、治療の継続をしても裁判上、認められない可能性もあったりします。そして、自賠責保険からの回収後については、相手保険会社からは支払い拒否される可能性も高いため、裁判を提起する必要性もあります。

 こういったことに対応するため、治療段階で弁護士に相談(ないし依頼)することで、治療を継続すべきか否か、主治医から意見書を取り付けるか否か、自賠責保険に提出するための書類の収集をどのようにすればよいか、自賠責保険から支払いを受けた後、裁判を提起するのか否かなどの点について、適切な対応が可能になります。

 相手保険会社からの打ち切りに関係なく、交通事故に遭った場合には、まず弁護士にご相談ください。

【コラム】途中で病院を変わってもいいですか? その場合保険会社の了解は必要ですか? 駄目だといわれたらどうしたらいいんですか?

2020-03-17

よく、表題のような質問を受けます。

実際のところ、医療費は、「必要かつ相当な費用」であれば請求可能です。そのため、病院を変えたことから、直ちに医療費の請求ができない、ということにはなりません。しかし、被害者の立て替えなしに、相手方の任意保険会社が医療費を先行払いする方法(いわゆる一括対応)は、任意保険会社のサービスである以上、これを強制させることはできません。

そのため、病院を変えるなどする場合には、事前に任意保険会社の了解を得ておく方が安全です。
※了解なしに病院を変えた場合、任意保険会社から一括対応を拒否される、治療費用の必要性・相当性について後々争われる可能性があります。

任意保険会社から転院は駄目だといわれた場合でも、病院を変えて治療を受けること自体は可能です。この場合でかつ、一括対応を拒否された場合(つまり、相手方保険会社から医療機関への治療費の支払いが停止された場合)の流れは下の通りです。

①治療中

・治療費は、被害者の立て替えになります。

・自由診療での治療は、金額が高額となる傾向のため、健康保険への切り替えや、労災保険・自身の加入する人身傷害保険等の使用などを検討することとなります(※就業中の事故の場合には、健康保険への切り替えができませんので注意してください)。

②治療終了後

・まず自賠責保険会社へ請求(=被害者請求)をし、立替費用の回収をすることを検討します。ただし、自賠責には上限があります。

・不足分は、任意保険会社への請求が考えられますが、賠償を拒否される可能性があります。なぜなら、任意保険会社としてはこれ以上の治療は必要ないと判断して治療を打ち切っているからです。もっとも、「直接の支払いは打ち切ったが、慰謝料などとまとめて交渉する場合は、改めて協議に応じることができる」というケースもあるので、一概に支払われないとは限りません。ただ、その場合でも、どの時点まで事故と因果関係があるか(保険会社としてどの時点で固定と考えるか)は争点となるでしょう。

・支払いを拒否されて納得がいかない場合は、訴訟により請求することが考えられます。訴訟の場合は、治療費が交通事故による怪我によるものであるか(因果関係)の点が主な争点になると思われます。診断書や医師の意見書などの証拠をそろえて立証していくことになります。

 

【コラム】治療打ち切りを言われて困っている方へ

2020-03-01

交通事故で相手方保険会社が医療機関に支払いをしている場合、数か月治療を続けていると相手側の保険会社から治療打ち切りの話が出て戸惑うことがあると思います。例えばむち打ちだと6ヵ月が近付いてくると打ち切りの話が出ることが多いといわれていますが、実際のところ、もう少し短い期間で言われることもあります。このように治療打ち切りを言われた場合、どうすればよいでしょうか? 

ここで重要なのは治療を続ける必要性があるかどうか、と、その症状が交通事故と因果関係があるかどうか、です。まず、医師の見解として、これ以上の治療は効果が見込まれないという場合や、症状はあってもそれが交通事故によるものかわからない、という場合は、相手方保険会社による費用で治療を続けることは難しいです。一方、医師が治療の継続を勧めていて、かつ、症状が交通事故によるものであることが明らかであるならば、交渉の余地があります。そのような場合は、弁護士にご依頼頂ければ、弁護士から保険会社と交渉します。ただ、それで無条件に継続が認められるというわけではありません。当面続けて良い、ということになる場合もありますが、あと1か月なら認める、とか、最大でも2か月まで、とか条件を付けてくる場合もあります。また、すでに社内で決定したなどの理由で治療継続を認めてくれない場合もあります。そうして結局打ち切りをされてしまった場合、どうすればよいでしょうか?

 ここで、二つの方法があります。一つは保険会社の見解を受け入れて症状固定とし、後遺障害診断書を書いてもらって、後遺障害等級認定の申請をすること。これは任意保険会社を通した事前認定でも、自賠責に対する被害者請求でも可能です。特に何も言わずに後遺障害診断書を書いてもらうとそのまま事前認定に移行するケースもあるようです。それゆえ、弁護士を通して自賠責へ被害者請求をする場合は、後遺障害診断書を書いてもらう際にその旨伝えて、自賠責用の後遺障害診断書書式を使ってもらうべきです。この方法だと、症状固定後の治療費は自費(健康保険)を使うことになり、一般的な病気やケガと同じように一部が自己負担になります。

 もう一つの方法は、あくまで治療を継続することです。ただし、相手方保険会社は医療機関に払ってくれないのですから、自費で行う必要があります。自費と言っても、健康保険を使うことが可能です。また、その自己負担分については、症状固定後に相手方保険会社に請求することも考えられます。医療機関への直接払いを打ち切られても、慰謝料などの交渉の際に含めて交渉すると、認めてくれる場合があります。それでも認めてもらえない場合には、訴訟で請求することも考えられます。それを行うかどうかは、慰謝料や休業損害など他の項目も含めて提示額に納得がいくかどうか、で決めると良いでしょう。ただ、その判断の際には訴訟をした場合に納得のいく結果になる可能性が高いかどうか、の検討が不可欠です。

 当事務所でも、治療費の打ち切りを言われてご相談に来られたケースが多くあります。治療費打ち切りのことで困っている方は、お電話または電子メールでご予約の上、立川か所沢の多摩中央法律事務所までご来訪ください。交通事故については、相談だけなら無料です。また、弁護士特約に加入している方は弁護士特約を使ってのご依頼も歓迎します。

 

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