【コラム】治療費が出るのはいつまで?

加害者側に任意保険がある場合の治療費支払いの仕組み

 交通事故に遭ってしまった場合、治療費の支払いはどうすればよいでしょうか?

まず、加害者側に任意保険会社がついている場合は、加害者側の保険会社が病院など医療機関に直接支払うことが一般的です。

ただし、被害者側にも過失がある場合や、あるいは、医療機関の方針で、任意保険会社からの支払いがなされないこともあります。その場合は、第三者傷病届の手続きをした上で健康保険を使うことが望ましいといえます。自由診療だと自らが負担しないといけなくなったときに負担が重くなってしまう恐れが高いからです。

加害者側の保険会社はいつまで支払ってくれる?

 加害者側の保険会社が支払いをしてくれているとき、いつまで支払ってくれるでしょうか? これは、負傷の内容や程度にもよります。むち打ちの場合には、長くても6か月がめどだといわれていますが、法的な根拠はありません。本来は、交通事故による負傷と因果関係のある傷病が治癒するか症状固定まで支払われるべきですが、むち打ちの場合は、事故後4か月~半年をめどに打ち切りを言われるケースは多いようです。

 もっとも、弁護士が入って交渉すれば、もう少し治療期間を延ばしてくれる場合もあります。

治療費の支払い打ち切り後に治療を受けたら

 治療打ち切りを入れてもまだ痛みが残るなどの理由で治療を続けたい場合もあると思います。そのような場合、治療を受けること自体は問題がありません。ただ、その時期の治療費を保険会社に支払ってもらえるかは、わかりません。治療終了後にまずは交渉することになりますが、交渉で応じてもらえない場合は、支払ってもらうためには裁判で認めてもらうことが必要ということになります。裁判の場合に重視されるのは、事故の治療として必要であったか、つまりは、事故と損害の間に相当因果関係があるといえるか、ということです。

 

治療と後遺障害

 治療費の支払いを打ち切られているかどうかにかかわらず、後遺障害の申請をするということは症状固定を認めたということですから、言い換えると、これ以上治療してもよくはならないということを自ら認めたことになります。そうすると、それ以後の治療費は交通事故による傷病を改善するためとは言えないことになり、原則として、補償の対象外になってしまいます。つまり、後遺障害を申請するが治療費も継続して支払ってもらいたい、ということは基本的に無理ということになります。

 ただ、自費(健康保険)で治療に通うことは意味がないわけではなく、症状が残っていることを示す要素として考慮される場合があるので、症状固定後であっても症状がある場合は、医師のアドバイスに従って必要な範囲で通院することが望ましいと思います。(ただし、治療費は自費(健康保険)で支払う必要があります)

 

治療費と過失相殺

 ところで、多くの場合、治療費は加害者側の保険会社が医療機関に直接支払ってくれます。ただ、被害者側にも過失がある場合は、本来は過失割合に相当する分は被害者側が負担するべきものということになります。それゆえ、治療費にも過失相殺はされますが(自賠責分は重過失の場合のみ)、通常は、いったん保険会社が支払った分についてあとから被害者に請求がされるわけではなく、支払われるべき慰謝料など他の補償から差し引かれるということになります。したがって、過失割合が大きいと、差し引かれる金額も増えてしまい、慰謝料などを超えてしまう恐れもあります。それゆえ、被害者側の過失が大きい場合には、保険会社は医療機関への直接支払いを避けたがる傾向にあります。

 

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