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【コラム】接骨院の治療費は認められない?

2020-01-20

交通事故にあった多くの方は、整形外科に通院をされます。しかし、整形外科の診察終了時間が早い、あるいは、湿布ばかりで、マッサージなどをしてくれないなどの理由で、接骨院に通院される方もいます。
基本的に、保険会社は、接骨院の治療費も負担してくれるのが通常ですが、実はこれが、大きな問題となることもあります。

とういうのも、交渉の段階では、保険会社が接骨院の治療費を認めていても、裁判になるとこれを否定してくるというケースがよくあるのです。
なぜかというと、接骨院は、そもそも病院ではない、というところに起因します。整形外科は、担当の医師が、治療の必要性を判断し、診察をしますが、接骨院の場合は、担当者はそもそも医師ではありません。また、特に交通事故に限りませんが、接骨院は架空請求の問題が浮上することがあります。もちろん、殆どの接骨院の先生が、適切な請求をしているはずですが、一部に不当請求をする接骨院があることなどもあり、裁判所における接骨院の治療費の認定はシビアです。
また、治療の必要性自体は認定をしてもらえても、因果関係がないとして、慰謝料が減額されてしまう可能性もあります。
交渉段階で保険会社が払うといっていても、裁判になった途端に、保険会社からも裁判所からも否定されるというケースがありますので、注意が必要です。

では、これを防ぐためにはどうすればよいか、ということですが、まずは、接骨院に通院することについて、整形外科の医師の許可をもらうことです。
これは、単に、「通っても通わなくてもいいよ」というレベルではなく、「通う必要がある」「通うことが治療に有効である」という内容であることが必要です。
接骨院への通院が、頻度も回数もさほど多くないという場合には、あまり問題にならないかもしれませんが、接骨院に通う場合には、必ず事前に主治医の先生に話を通すようにしましょう。

また、接骨院に通うとしても、必ず整形外科にも平行して通院することにしましょう。
両方に同じ頻度で通うことは難しいでしょうが、整形外科にも最低でも月に一回は通うようにするべきです。定期的に医師の診断を受けていることが重要になるからです。

以上が、接骨院に通院するときのポイントです。接骨院の治療費が多く、また、医師に許可も得ていないとなると、裁判になった時に不利になる可能性が高く、交渉段階でも、いざとなったときに裁判を選ぶことができないというのは、痛いところです。(増額してくれないなら裁判にしますよ、という条件を提示できないということになるからです)

こういった問題は、賠償額の交渉の際にも問題になります。
リスクを回避して適正な賠償を受けるためにも、ぜひ一度弁護士にご相談下さい。

【コラム】後悔しないために 通院中気を付けてほしい3つのこと

2020-01-20

後遺障害等級認定のためには、症状の一貫性が認められることが絶対条件です。症状の一貫性とは、「ある自覚症状が、初診時から症状固定時まで継続していること」です。しかし、いざ後遺障害等級認定を行ってみたところ、症状の一貫性が否定され、認定がされないことがあります。そのようなケースでは、以下の3点に気をつけて通院をしていれば、結果が変わっていたのではないか、と悔やまれることが多くあります。後悔しないために、交通事故治療中には、以下の3点にぜひ気を付けて、通院していただきたいと思います。

1 医師に自覚症状をなるべく細かく伝えること

「体のどの部位に」「どんな症状があるのか」を、なるべく細かく医師に伝えて下さい。

体の部位については、例えば、「首」「肩」「背中」の3箇所が痛いのに、「首」が一番痛いので、「首の痛み」しか伝えないと、「肩」や「背中」の痛みは最初からなかった(あるいは途中で治った)ことになってしまいます。

また、症状については、「痛み」「重い感じ」「だるい感じ」「しびれ」など、同じように感じるかもしれませんが、全て別の症状です。例えば、初診時に「首の痛み」を訴えていた方が、3か月後に「首のしびれ」を訴え、症状固定時には「首のしびれ」だけが残ってこれについて後遺障害等級認定を求めた場合、初診時に「首のしびれ」の訴えがなかったとして、症状の一貫性が否定されてしまう可能性があります。

これを防ぐために、ご自身の体のどこにどんな症状があるのか、なるべく細かく医師に伝えて下さい。

2 治療途中に別の症状が現れた場合には、なるべく早く医師に伝えること

初診時になかった症状が、時間が経ってから現れる、というのは、交通事故では非常によくあることです。また、初診の際には症状が「痛み」だけだったけれど、時間が経ってから「痛み」に加えて「しびれ」も生じてきた、というように、新たな症状が加わることもよくあります。

しかし、事故から時間が経ってから現れた症状は、事故によって生じた症状ではない(因果関係がない)とされてしまい、その症状の治療費が請求できなかったり、後遺障害等級認定の対象にならない可能性があります。

そのため、治療途中に別の症状が現れた場合には、なるべく早く医師にその症状を伝えて下さい。

3 転院した場合、改めて自覚症状を正確に伝えること

初診は事故現場近くの救急病院等を受診し、しばらくして、近所の整形外科に転院するという方も多いです。通常、転院した場合、紹介状が書かれ、症状や治療内容について、転院先に引き継ぎがなされます。しかし、全ての自覚症状が正確に転院先に伝わっていない場合があります。

たとえば、初診時の病院では3つの症状について治療を受けていたのに、転院先の病院では2つの症状しか伝わっておらず、その2つの症状の治療しか行われていないというようなことがありえます。これを防ぐためにも、転院した場合には、転院先の病院に改めて、ご自身の自覚症状を詳しく伝えて下さい。

いかがでしたか。通院は数か月から1年近くに及ぶ方も多いので、通院のたびに、自覚症状を細かく伝えるのは面倒に感じてしまうかもしれません。あるいは「前に伝えたから医師は分かっているだろう」という気持ちになってしまう方もいますよね。

しかし、自覚症状を正確に医師に伝え、それをカルテ等に記録として残しておいてもらうことは、後からやろうとしても絶対にできない、通院中にしかできないことです。後で後悔をしないため、①医師に自覚症状をなるべく細かく伝えること②治療途中に別の症状が現れた場合には、なるべく早く医師に伝えること③転院した場合、改めて正確に自覚症状を伝えること、この3点に気をつけて通院していただきたいと思います。

【コラム】タクシーによる通院交通費は認められない?

2020-01-09

 

 交通事故の被害にあった方は、整形外科や接骨院に通院することになりますが、この通院にかかった交通費も、加害者(加害者の加入する保険会社)に請求をすることができます。

 この場合、基本的に、相手方に請求することができるのは、公共交通機関を利用した金額です(自動車の場合は、1キロメートルあたり15円のガソリン代)。

なかには、全身が痛み、とても公共交通機関では通院できないのでタクシーを利用したいという方もいらっしゃると思いますが、原則はあくまで公共交通機関を利用した金額なので、タクシーによる交通費が認められるのは例外的な場合です。

 「電車に乗ることができないわけではないけど、ちょっと億劫だな」、という感覚でタクシーを利用してしまうと、あとから交通費を否定されてしまう場合もありますので、タクシーを利用する際は注意が必要です。

 では、どのような場合であれば、タクシーが認められるのでしょうか。

 交通事故の際に、弁護士や裁判官が参考にする書籍として『赤い本』(日弁連交通事故相談センター発行)というものがありますが、これによると、タクシー代が認められるのは、「症状などによりタクシー利用が相当とされる場合」とされています。

 具体的にどんなケースで認定がされているかというと、公共交通機関を利用しようと思うと、1時間かけて自宅から駅まで歩かなければならないケース、視力を失っており、杖の携帯ないし盲導犬を連れていることが必要であったようなケース、等です。

 以前に、私が担当した案件では、上記裁判例と同様、自宅から駅までの公共交通機関の利用が難しいという事案がありました。その事案では、足を骨折して松葉杖をつかなければならない状況でしたが、その状態では、揺れや突然停止があり得るバス、あるいは満員電車に乗ることが困難であったという事情等を説明し、タクシーによる通院交通費、大学までの交通費を認定してもらうことができました。

 これらの例からすると、赤い本でいうところのタクシー利用の相当性が認められるためには、症状の部位・程度から、タクシーを利用する必要性があることや、期間の相当性に関する事情を証明することが必要であると考えられます。上記の私が担当した事案では、主治医の先生に、「~までは公共交通機関の利用が困難である」という趣旨の文言を診断書に記載してもらい、タクシー利用の必要性があることを主張・立証しました。また、診断書や本人の証言をもとに、本人の症状や、自宅から病院等までの詳細な経路を主張・立証しました。

 以上のように、通院にタクシーを利用した場合、後々問題になる可能性が高いといえます。回数が少なく、金額もさほど大きくない場合には、問題にならないかもしれませんが、後からタクシー代は負担しないといわれてしまうと、賠償額が大きく変わる可能性もあります。

 タクシー利用を考える場合、あるいは、既に保険会社からタクシー代の支払を拒否されている場合、弁護士が専門知識をもとにお話をさせていただきますので、争いになる前に、ぜひご相談ください。

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