Archive for the ‘物損事故’ Category

【コラム】経済的全損といわれたら

2020-08-02

交通事故にあった自動車の修理を希望しても、修理するよりも買い替えた方が安いような場合には、修理代全額が相手方から支払ってもらえないことが、しばしばあります。このような状態を経済的全損と呼びます。このコラムでは、経済的全損について解説します。

 

1 経済的全損とは

経済的全損というのは、交通事故で損傷した自動車の修理費用の方が、時価額に買替諸費用を加えたものより高い場合をいいます。事故にあった車を修理するより、買い替えた方が安い場合には、車の買い替えに必要な費用の限度でしか、賠償してもらえない、ということです。例えば、修理すると100万円かかる車について、買い替えると50万円で済む場合には、いくら修理してほしくても、50万円までしか賠償してもらえないということです。

 

2 自動車の時価額はどうやって決めるのか

車両の時価額については、有限会社オートガイドが発行している通称レッドブック(正式名称はオートガイド自動車価格月報)と呼ばれる本に載っている価格が基準にされる事が多いです。この本には、車種や年式等ごとに、中古車の小売価格が載っています。相手方保険会社から、レッドブックの該当ページのコピーが提示され、これが時価だと言われることが多いです。実際に裁判でも、レッドブックが時価額の目安とされることもあります。

しかし、いざ実際に中古車店に出向き、事故車と同じような車を買おうとしても、レッドブックの金額では足りないということがよくあり、レッドブックの金額では到底納得ができないという場合も少なくありません。

そのような場合には、中古車販売のインターネットのサイト等を使って、なるべく事故車と似た状態の車の市場での販売価格を調査してみるという方法があります。実際の販売価格を調べてみると、車種と年式が同じでも、走行距離や使用状態によって、金額がかなり違うこともあります。弁護士にご依頼いただいた場合には、事故車と全く同じ状態の車を見つけることは難しいことが多いので、似たようなものをいくつか収集して、その中の平均値を取ったりして、少しでも高い金額になるよう、粘り強く交渉します。このような交渉により、経済的全損の場合であっても、相手方から支払ってもらう時価額+買替諸費用額を、少しでも増やせるよう、弁護士は努力します。

 

3 まとめ

車の修理費用については、レッドブック等の資料を提示されると、いかにも根拠があるように思えて、よく調べないまま保険会社の提示額で合意してしまうことも少なくないと思います。しかし、それはあくまで1つの参考値であり、ご自身の自動車の時価が適正に評価されていない可能性もあります。ほんとうにその金額が適正なのか、最終的に合意をする前に、ぜひ一度弁護士にご相談ください。

 

【コラム】物損事故の補償

2020-05-03

物損事故に関して問題になりうる項目として複数のものが挙げられます。

 

修理代

 事故で自動車が破損した場合、基本的には加害者に対して修理代の請求ができます。ただし、自動車の価値を上回る修理代がかかる場合は、修理代ではなく、価値の補償に留まることになります。これを経済的全損と呼んでいます。価値は購入時ではなく事故時点の価値ということになります。すなわち、減価償却を考慮するわけです。その際に、車の価値の調べ方としては、レッドブックを使う、市場価格をネットで調査する、などの方法があります。ここで、買い替えにかかる諸費用がどこまで認められるかについて論争があります。

評価損

 修理を行っても自動車の価値が事故前に戻るとは限りません。特にフレームに至る損傷があった場合には、それ以後中古市場での価値が下がる恐れが高いです。そのような場合に、価値の低下を補償するのが評価損という仕組みです。ただし、必ず認められるわけではなく、価値が高く新しい車の場合は認められる可能性が高いですが、それ以外の場合は認められにくいのが実態です。また、補償の額について、実際に下がった価値の分を補償するという方式をとる場合は稀で、多くの場合は修理代を基準に、その10%~30%の範囲内で決めることが多いです(比率は損傷の程度等により異なります)。

代車費用

 車の修理の間に必要だった代車の費用が認められる場合があります。一般論として、仕事で使う車の場合は認められやすいですが、自家用車でもともと利用頻度が低い場合や代替交通機関がある場合には争われる可能性があります。また、期間についても争われることがあります。すなわち、修理をすぐにせずに長く乗っていると、いつまでは合理的だったか、ということが問題になりえます。

車以外に破損した物の補償

 車以外にも、カーナビが破損した、積んでいた荷物が破損した、バイク事故で服が破れた、というような場合には、事故と相当因果関係があれば補償対象となります。ただ、これらについても購入時の価格ではなく減価償却を行なった上での事故時での価格であることに注意が必要です。また、オートバイの事故の時によくある服や腕時計などの破損については購入価格の証明が難しい場合もあり、価格の証明に工夫が必要です(示談交渉だと、「少なくともこれくらいの価値はあったはず」というような大まかな推定で示談に至る場合もあります)。

物損事故と弁護士への依頼

 まず、人身傷害を伴う場合に弁護士に依頼した場合には、物損事故の補償の話がまだ終わっていない場合は、弁護士が物損の分も交渉します。

一方、物損だけの場合に弁護士に依頼することにメリットがあるかどうかは、ケースによります。すなわち、弁護士が交渉することで金額が増えるかどうか、という問題の他に、仮に増えたとしても弁護士費用を上回るのであればメリットがないといえます。この点、弁護士特約が使える場合は、弁護士費用は保険会社が払ってくれるため、若干でも補償が増えれば、依頼のメリットはあるといえるでしょう。

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