【コラム】駐停車車両に対する追突でも10:0にならない場合

1, 一般道における追突の場合の原則的な過失割合

一般道では、駐停車車両に対する追突の場合の場合、過失割合は10:0になるのが原則です。すなわち、判例タイムズ157図で示されているように、追突した側が10,追突された側が0,になるのが原則です。

 これは、走行している車が止まっている車に追突したら、原則として、追突したほうが100%過失があるということで、一般的な感覚にも合致すると思います。

2, 157図の過失割合が追突側に有利に修正される場合

しかし、157図を適用しつつも、過失割合が追突した側に有利に修正される場合があります。それは、以下の場合です。その場の状況についての要素である①を除けば、基本的に駐停車車両の止め方(場所や不灯火など)の問題と言えるでしょう。なお、下記各項目の、追突車の過失割合を減らすということは、同時に、駐停車車両の過失割合を高めるということを意味しますが、タイムズの書き方に従い、追突車両を基準に記載しました。

① 視認不良

降雨、濃霧、夜間で街灯がなく暗い所等の理由より視認が不良の場合には後続車から停車車両を発見することが困難なので、追突した側の過失を10ポイント減らす修正がされます。

② 駐停車禁止場所

駐停車禁止場所に停止している場合も、他の交通の妨害をして事故発生の危険を高めているとして、追突した車両の過失を10ポイント減らす修正をします。

③ 非常灯点滅等の不灯火等

道路交通法52条1項本文で、「車両等は、夜間(日没時から日出時までの時間をいう。以下この条及び第六十三条の九第二項において同じ。)、道路にあるときは、政令で定めるところにより、前照灯、車幅灯、尾灯その他の灯火をつけなければならない。」とされていますが、これを怠っていると、後続車からの発見が困難になります。そこで、追突した側の過失を10~20ポイント減らす修正をします。

④ 駐停車方法不適切

道路交通法47条は、1項「車両は、人の乗降又は貨物の積卸しのため停車するときは、できる限り道路の左側端に沿い、かつ、他の交通の妨害とならないようにしなければならない。」
2項 「車両は、駐車するときは、道路の左側端に沿い、かつ、他の交通の妨害とならないようにしなければならない。」
と定めています。これに反する駐停車の場合には、10ポイント~20ポイント追突車の過失を減らす修正をします。タイムズはその例として、「道路幅が狭い所、追越車線、幹線道路等の交通量が多い地点」に駐停車した場合を挙げています。

 その他、車両が汚れ後部反射板の反射力が効かない場合、も挙げています。

⑤ その他の著しい過失

駐停車車両にその他の著しい過失がある場合には、追突した側の過失を10ポイント減らす修正をします。

⑥ その他の重過失

駐停車車両にその他の重過失がある場合には、追突した側の過失を20ポイント減らす修正をします。

なお、駐停車車両の著しい過失や重過失がどういう場合か、という点について、タイムズでは自招事故を理由とする場合や車両を放置している場合が例示されています。

以上のように、駐停車車両の側にも問題があれば、追突側の過失が100%とはならないことがあります。

 

3、157図における追突側に不利な修正要素

 157図の原則では追突側10:駐停車車両0の過失割合なので、原則から考えれば、追突側に不利な修正要素は意味を持ちません。しかし、上記2のように追突側に有利な修正要素がある場合には、逆に追突側に不利な修正要素が意味を持ちます。

 すなわち、上記3のように駐停車車両の問題で過失割合が修正される場合でも、

・追突した側に15km以上の速度違反があれば10ポイント追突側に不利に

・30km以上の速度違反があれば追突した側に20ポイント不利に

・その他の著しい過失(脇見運転、酒気帯び運転、携帯電話を使いながらの運転、など)が追突側にあれば10ポイント追突側に不利に

・重過失(酒帯運転、居眠り運転、無免許運転など)の場合は20ポイント追突側に不利に、

修正されます。また、

・追突された側の車両が故障などで退避不能の場合には追突側に10ポイント不利な修正がなされます。

 したがって、追突側に有利な事情がある場合でも、これら追突側に不利な事情もあれば、修正の結果、結局、追突車10駐停車車両0の過失割合になる場合もあります。

4, 過失割合に納得がいかない場合は弁護士にご相談ください

「駐停車車両の止め方にも問題があったのに、追突だから後続車が一方的に悪いと言われて納得がいかない」「左端に寄せて止まっていたのに相手方に中央に止まっていたと言われて過失があると言われている」など、過失割合に関して困っておられる方は、ぜひ、弁護士にご相談ください。当事務所では交通事故については相談だけなら無料です。また、弁護士特約を利用しての御依頼も歓迎します。
まずは、お電話か電子メールでご予約の上、立川か所沢の当事務所までご来訪をお願いします。なお、負傷で来れない場合等には事務所からの距離によっては出張相談ができる場合もあるので、まずはお問い合わせください。

なお、この記事では駐停車車両に対する追突の場合について記述しました。走行中の追突で10:0にならない場合については判例タイムズ【154】(被追突車に法24条違反がある場合)があります。

交通事故のご相談は、経験豊富な弁護士へ!

無料相談ご予約・お問い合わせ

 

ページの上部へ戻る

トップへ戻る

HOME Mail Tel