人身事故における損害賠償としては、以下のような項目が考えられます。事故後、保険会社はこれらの費目について、賠償額を提示してきます。(これがすべてが当てはまるとは限りません)
- 治療費、入院費
- 入院雑費
- 入院付添費、通院付添費
- 入通院慰謝料
- 休業損害
- 通院交通費
- 後遺障害慰謝料
- 逸失利益
- 文書料
保険会社からの提示ならしっかりした計算に基づいているので大丈夫だと思う方もおられると思います。しかし、自動車保険の仕組みはあくまで相手方の損害を賠償するものであり(人身傷害保険などを除く)、提案してきているのは通常相手方の任意保険の会社です。したがって、提案する保険会社側にはできるだけ低めで済ましたいという考え方があることは否定できません。
これが顕著に表れるのが慰謝料です。慰謝料には入通院慰謝料と後遺障害慰謝料がありますが、いずれについても、自賠責基準・任意保険会社基準・裁判基準の3つの基準があります。裁判基準は「赤い本」の基準とも呼ばれています。自賠責がもっとも低く、任意保険会社は内部の基準を定めていることが多いですが(任意保険会社基準)、それも裁判基準と比べるとかなり低いと考えられます。そもそも、自賠責基準で提案してくることもありますし、いずれにしても、裁判基準よりはかなり低額の提示をしてくる場合がほとんとです。
しかし、一般の方は、そのように3つの基準があること自体知らない方も多いですし、知っていても、保険会社の提示が正しいのかどうか、本来であれば自分がどの程度請求することができるのかの判断をすることは極めて困難です。
もちろん、保険会社は、自身の会社に不利になるようなことは言わないので、丁寧に裁判基準のことなどは教えてくれません。
逸失利益についても、むち打ちだと期間を短く主張してきたり、醜状障害の場合は認めないと主張してきたり、自営業者の場合、基礎収入について争ってくる場合もあります。それ以外の項目についても、保険会社の主張は被害者に不利なものになっていることが珍しくありません。
さらに、案件により重要なのが過失割合です。過失割合は、「赤い本」や「判例タイムズ38」の基準を当てはめると目安は出てくるのですが、必ずしもぴったり当てはまる図があるとは限りません。また、片方の車の15km/h以上(あるいは30km以上)の速度違反、よそ見運転、歩行者が65歳以上であったり幼児であったり、現場が幹線道路であったり、など、図により様々な修正要素が設定されており、それぞれの事案に応じてどの修正要素が当てはまるかを見出し、被害者側に有利なものはしっかり主張しないといけません。また、保険会社側が加害者に有利な修正要素を主張している場合は、それが事実なのか、また、当てはまるのか、を判断して、疑問がある場合はしっかり反論しなくてはいけません。それをしないと、不利な過失割合のまま妥協せざるを得なくなる恐れもあります。
したがって、保険会社の提示が充分とは限らないことをまず頭に入れておいていただければ、と思います。
〈提示があったらまずは弁護士に相談を〉
上記のように、保険会社から提示があっても、保険会社の計算は正しいのか、本当に妥当な金額なのか、あるいは、他に請求できるものはないのか等、ご自分ではその提示が適正なものであるかどうかを判断するのは難しいと思います。
慰謝料については、ある程度相場が決まっているため、個人の方がインターネット等で計算することは可能ですが、事案によって増減の可能性がある上、他の費目との調整にも使われます。
更に、逸失利益の算定は、基礎収入の考え方や、中間利息控除の計算等、複雑な問題をはらんでおり、かなり専門的な内容となっています。
そこで、当事務所にご相談いただければ、その提示が妥当なのかどうか、妥当でないとしたら、本来ならいくら獲得できる見込みがあるのか、今後どのような対応をとっていったらよいのか、無料で診断させていただきます。
そのため、弁護士費用の持出しを気にせずにご依頼いただくことが可能です。交通事故の相談であれば、何度でも無料ですし、費用の見積もり・賠償額の見積もりも無料でご案内させていただきます。
人身事故で、保険会社から賠償額の提示を受けたら、すぐに多摩中央法律事務所にご相談下さい。
*もちろん、提示前のご相談も歓迎します。
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