【コラム】主婦の休業損害

交通事故に遭って、しばらく仕事をできなかった場合、サラリーマンや自営業など収益を生む仕事をしていれば、休業損害を請求するという考え方はすぐに出てくると思います。

では、主婦の場合はどうでしょうか?

もともと収入がない、ということで休業損害を請求するという発想自体が出てこない方もおられると思います。しかし、主婦も立派な仕事、それが自己の影響でできない時期があったのに何も補償がないのは間違ったことですし、実際、主婦の場合も休業損害は請求できます。

この際、基礎となる収入は賃金センサスにより計算するのが一般的です。これは厚生労働省が作成している統計で、簡単に言えば、様々な階層ごとの平均収入を調査して作成された統計資料です。主婦の休業損害ではこれを用いて、収入の額とします。

では、期間はどうするのでしょうか?

この点、サラリーマンであれば、実際に会社を休んだ日を会社に証明してもらえば休んだ事実を証明できます(もっとも、その全期間について認められるかはケースによりますが)。

しかし、主婦の場合、家事を何日間休んだか、という客観的な証拠は通常ありません。そこで、けがの程度や回復の具合から、どれくらいの期間働けなかったか、を判断することになります。この際、事故による負傷や回復状況について記された診断書の他に、事故の程度の指標として車の修理の見積もりないし請求書なども参考にされることがあります。その他医師の意見書などが提出できれば証拠となりえます。

また、事故後ある程度の期間は100%で計算し、ある時点からある時点までは50%で計算する、というような、回復状況を反映した段階的な認定がなされることもあります。

事故から近い時期に関しては比較的認定されやすく、事故から時間が経った時期については認定がされにくい、というのは主婦以外の場合も同様ですが、主婦の場合は、休業した事実自体が立証しづらいため、基本的に事故の程度や症状等から推認するという方法をとらざるを得ないでしょう。

なお、パートなどで収入があり、それが賃金センサスを上回っていた場合は、実際の収入を前提に計算します。

いずれにせよ、主婦でも仕事(家事)に支障が出た場合には原則として休業損害を請求できるので、負傷の程度が重い場合には、その請求を忘れないようにしましょう。

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