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非接触事故とは?
交通事故において、加害者の車等とは衝突はしていないけれども加害者の車等の挙動が原因で負傷などの損害が生じたとされる場合があります。これを非接触事故といいます。
他の車の直前に割り込んだために割り込まれた車が避けるために進路を変更してガードレール等にぶつかった場合や、割り込みに対応して急ブレーキをかけざるを得ず、結果、乗っていた人が負傷した場合などが挙げられます。あるいは、オートバイの場合、衝突を避けるために急ハンドルを切ったら転倒した、など他車の運転が原因で転倒が生じて負傷したケースもあります。また、車と車に限らず、歩行者が自動車やオートバイの直前を横断したことで事故を誘発した場合も、同様です。
非接触事故における損害賠償請求
非接触事故でも損害賠償請求は可能でしょうか? 実のところ、損害が発生して、因果関係を示すことができれば、可能だと考えられます。すなわち、事故により負傷をしたこと、および、その原因が加害者の行動にあること、を示せれば、民法上、損害賠償請求が可能です。負傷の事実と、事故と負傷の因果関係が立証できれば、損害賠償請求の内容は一般の事故と同じです。個々の事情に応じて、治療費、慰謝料、休業損害、など各項目について加害者に請求していくことになります。
非接触事故で争点となりやすい点
非接触事故では負傷の有無、因果関係が問題とされやすいところです。すなわち、接触もしていないのだから衝撃はほとんどないはずなのに負傷をするのはおかしいという争い方をされることがあり、特に、相手方の車のみならず他の物との衝突もない事案ではそのような争い方をされる恐れが強いです。また、仮に負傷をしたとしてもそもそも相手方の車の運転が原因で急停車などの負傷の原因となる行為が生じたわけではないという争い方をされる場合があります。
たしかに、実際に衝突が生じた場合と比べると立証が難しいケースもありますが、裁判例を見ると、請求が認められたケースもあります。例えば、東京高裁平成30年8月8日(判タ1455号61頁~67頁)、さいたま地判平成30年5月31日、等は、非接触事故で負傷の事実及び因果関係を認定しています。
非接触事故でもまずは警察に届けを
非接触事故でも、事故である以上、警察への通報、負傷者の救護、が必要です(道路交通法72条1項)。また、警察に届けないと、事故証明も発行されず、加害者の責任を追及することが難しくなってしまいますので、その意味からも、警察への届け出は重要です。
非接触事故についての相談
非接触事故の被害に遭い、相手方保険会社等の対応に納得がいかない場合は、ぜひ、弁護士にご相談ください。弁護士は事件の依頼を受けた場合、代理人として相手方保険会社等と交渉をしたり、場合によっては訴訟を行ったりすることができます。非接触事故については保険会社との交渉が難航することが多いと思いますので、ぜひ、弁護士にご相談いただければ、と思います。