【コラム】後遺障害等級認定後の交渉

後遺障害認定後の流れ

後遺障害の等級認定を得られても、それで自動的に慰謝料や逸失利益の補償が振り込まれるわけではありません(被害者請求の場合、自賠責分は振り込まれますが)。そこから、相手方保険会社との交渉が必要です。相手方保険会社との交渉を経て、示談に至れば、速やかに振り込まれます。

 一方、示談で相手方が提示してきた金額に納得できない場合には、裁判を行って解決する方法もあります。この場合も、裁判の中で交渉をして和解をすることもできますが、判決まで進める場合もあります。

 

後遺障害がある場合に請求できる項目の例

後遺障害がある場合に、請求できる項目ですが、

・入通院慰謝料

・通院交通費

・休業損害

・文書費(診断書代)

・後遺障害慰謝料

・逸失利益

などが考えられます。もちろん、求償損害は事故が原因で仕事を休んだ場合だけですし、交通費も自宅から徒歩で通っていれば発生しません。逆に上記以外に介護費用などが認められるケースもあります。したがって、上記はあくまで例示です。

 また、入通院慰謝料や休業損害は後遺障害の有無にかかわらず要件を満たせば発生するものであるのに対して、後遺障害慰謝料と逸失利益は後遺障害が残った場合に独特のものです。なぜなら、後遺障害慰謝料は文字通り後遺障害が残ったことに対する慰謝料であり、また、逸失利益は後遺障害が残ったことで仕事をする能力が低下したことによる収入の低下を填補する趣旨だからです。

 

後遺障害慰謝料と逸失利益

後遺障害慰謝料は通常、「赤い本」に出ている基準額をベースに交渉します。過失相殺がない場合には、弁護士が交渉すれば概ね基準に近いところで示談できるケースが大半だと思います。

 しかし、ここで注意が必要なのは、逸失利益は必ずしも計算式に従った額で応じてもらえるとは限らないということです。つまり、逸失利益は、基礎収入×労働能力喪失率×期間に応じたライプニッツ係数で計算しますが、まず、むち打ちの場合は67歳までではなく5年程度で計算することが多いです。また、現実の収入低下がないことを理由に支払う必要がないという主張をされたり、おもに醜状障害のように物理的に労働能力が低下するわけではない場合には収入の低下が見込まれないことを理由に逸失利益の支払いを渋られる場合もあります。

 そこで、そのような場合には、被害者の代理人弁護士は事案に応じて逸失利益の存在を根拠づける事実を主張し、時には類似の案件の判例を示しつつ、計算上の額で払ってもらえるように交渉をしていきます。すなわち、収入低下がないという主張に対しては労働能力の低下を特別の努力で補っている結果低下していないという事実を主張する、現在の職業に照らして収入の低下が見込まれないという主張に対しては転職の可能性を主張する、というようなことです。また、時には逸失利益について低めで応じる代わりに慰謝料の増額を主張するということもあります。

 

後遺障害の損害賠償の交渉を弁護士に依頼するメリット

後遺障害の損害賠償請求について弁護士に依頼するメリットはどういうところでしょうか? まず、挙げられるのは慰謝料の増額です。入通院慰謝料は入通院の期間に応じて赤い本の基準で金額を算出できますし、後遺障害慰謝料も1級から14級までの等級に応じた慰謝料の額が掲載されています。しかし、被害者の方がご自身で交渉すると、「赤い本」の額ではなく、より低い任意保険会社の内部基準や、時には「赤い本」と比べてかなり低い自賠責の基準で提案してくるケースもあります。その点、弁護士が代理人になれば、「赤い本」の基準をベースにした交渉ができます。完全に満額になるとは限りませんが、経験上、「赤い本」の9割~満額で示談に至ることが多いです。

 また、逸失利益についても上記のように、専門的知識に基づく粘り強い交渉が必要な場合があります。慰謝料もそうですが、特に、逸失利益は自動的に決まるものではないのです。

 さらに、過失割合で揉めている場合は、後遺障害がある案件だと5%、10%の違いでも金額が大きく変わりますから、専門家による交渉によって正当な割合での示談に持っていく必要性は高いといえます。過失割合は、治療費や休業損害も含めた全体にかかってくるので、その割合によって最終的に補償として給付される金額が大きく変わってきます。この点についても、弁護士にご依頼頂ければ「赤い本」や「判例タイムズ」の判断手法を元に交渉します。また、事実関係に争いがあるときは、実況見分調書の取り寄せやドライブレコーダーの確認などの方法で調査をして、被害者の立場で立証をしていきます。

 以上については、交通事故被害の問題に詳しくないと充分な主張ができずに不利になってしまう恐れもあります。その点、弁護士は、特に交通事故案件を多く扱っている場合には、経験と専門的知識を活かして適切な交渉や訴訟活動をすることができます。それゆえ、後遺障害のある案件では、一般的に考えて、弁護士にご依頼頂くメリットは大きいといえます。

 

当事務所の実績

 多摩中央法律事務所では、これまで200件以上の交通事故案件を扱ってきました。その中には多くの後遺障害のある案件が含まれています。後遺障害等級認定の申請(被害者請求)、異議申立て、を含めて、後遺障害に関する多くの案件を扱ってきました。後遺障害に関する案件は当事務所では力を入れているところなので、交通事故の後遺症に悩んでおられる方は、ぜひ、ご相談ください。

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