ここでは、信号がない交差点において、同じ道の対向する方向から進んできた四輪自動車のうち一台が右折しようとして、直進中のもう一台と衝突した事故について、過失割合を検討していきます。
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1.信号がない交差点における直進車と右折車の事故
この場合の基本的な過失割合は直進車20,右折車80,となります(判例タイムズ38巻図【114】)。直進車が優先なので、右折車のほうが過失が大きくなるわけです。
2.修正要素
1.直進車の過失をより大きくするものとして以下のものが挙げられます。
- 既右折・・・右折車がすでに右折を完了しているか、それに近い状態の場合に衝突した場合、直進車の過失は20ポイント増えます。そのような状態で衝突したとすれば、より早い段階で気が付いて衝突を回避することができたはずなので、直進車の過失が大きくなるわけです。
- 15km以上の速度違反・・直進車の過失が10ポイント増えます
速度違反は危険を増す要素なので、直進車に15km以上の速度違反があると10ポイント加算されます。 - 30km以上の速度違反・・直進車の過失が20ポイント増えます
速度違反の程度が甚だしい場合にはより危険が増すので、30km以上の速度違反の場合には20ポイントの加算となっています。 - その他の著しい過失がある場合は10ポイント加算されます
脇見運転、携帯電話を使用しながらの運転、酒気帯び運転、などです。この図の場合は、直進車が全く減速しないで交差点に進入した場合もこれに当たります。 - その他の重過失がある場合は20ポイント加算されます。
酒酔い運転、居眠り運転、無免許運転、などの場合です。
2.右折車の過失をより大きく(直進車の過失を減算する)するものとしては以下が挙げられます。
- 徐行しなかった場合 10ポイント右折車の過失が加算されます。
- 直近右折の場合 同様に10ポイント右折車の過失が加算されます。
- 早回り右折の場合 5ポイント右折車の過失が加算されます。
- 大回り右折の場合 同様に5ポイント右折車の過失が加算されます。
- 合図なしの場合 10ポイント加算されます。
- その他の著しい過失や重過失がある場合 10ポイント加算されます。
3.まとめ
このように、信号機のない交差点で対向してきた直進車と右折車の事故(双方四輪自動車)は直進車8右折車2の過失とされるのが基本です。しかし、直進車の運転態様によっては直進車の過失がそれよりは大きくなることもあるので、注意が必要です。
また、直進車と右折車の事故は、直進車が速度を出していることが多く、相対速度が大きいために大きな事故になりがちです。運転していて右折する場合はもちろん、直進する場合も右折しようとしている車が前方に見えたら充分注意して運転することが重要です。