過失相殺とは、交通事故の原因等において、被害者側にも過失があると認められた場合、その割合に応じて、賠償金額が減額になることをいいます。
わかりやすくいいますと、仮に、被害者に2割の過失があるということになった場合、被害者に生じた損害額が1000万円とされた場合、賠償金額は800万円となります。(ただし、自賠責の場合は、7割未満の過失は考慮されません)
過失の割合がどれくらいになるのかについては、過去の裁判例をもとに作成された過失相殺率の認定基準が参考にされます。これは、赤い本にパターンが出ていて、それを、速度違反や、前方不注意、酒気帯び、などの要素を加味して修正していくという形になります。
一般道で停車中の車輌に追突したというような事例では、4輪車どうしであれば、被害者の過失がゼロとされることがほとんどですが、交差点での衝突、駐車場の出入りの際の事故、車線変更時の事故、などは過失割合が問題になることが多いです。
保険会社も、上記認定基準を参考にして被害者の過失を主張してくることも多いです(赤い本のほか、別冊判例タイムズが参照されることもあります)。ただ、保険会社側の主張は、やはり、被害者に不利な主張をしてくるケースも多いように思われます。
例えば、加害者の過失割合を加算する要素があって、それが保険会社側の主張には反映されていない場合もあります。そのような場合は、弁護士が記録をよく読んで調べれば、判明し、証拠として用いることができる可能性があります。
つまり、類型に当てはめるだけで自動的に算出されるとは限らず、そこから、速度違反や前方不注意などの修正要素を主張される(できる)こともあるので、案件によっては、実況見分調書などの証拠を検討したり、現場をみるなどの検証作業が重要になってくるわけです。もちろん、ドライブレコーダーの画像もある場合には重要な証拠となりえます。
そもそも、保険会社は、できるだけ自社側に有利な解決を望んでいるので、過失相殺においても、加害者に不利な事情、被害者に有利な事情、はできるだけ考慮しないで算出しようとする傾向があるように思えます。それゆえ、ケースによっては、保険会社側の主張する過失割合をそのまま受け入れてしまうと、損をしてしまう恐れもあります。
このように、過失割合の判断は簡単なものではなく、一般の方では、自らに不利な主張がなされていることに気が付かないことも多いと思います。それゆえ、保険会社の提示に対する回答をする前に、専門家である弁護士に意見を聞いていただければと思います。
弁護士は、過失割合に不満を持つお客様からご相談を受けて受任させていただいた場合は、資料を取り寄せるとともに、現場を検証に行くなどの方法で、適切な過失割合を算出し、できるだけお客様の利益になるように、保険会社相手に交渉や裁判で主張していきます。
過失割合については、様々な判例が重ねられている分野であり、また、法的評価の問題ですから、法の専門家である弁護士が得意とする分野です。(逆に、そのような分野であるので、法律に詳しくない一般の方が一生懸命本を読んで調べて保険会社と戦おうとしても、なかなか困難があると思います)
過失相殺の点について不安を感じた場合や、納得がいかない場合は当事務所にご相談ください。