入通院慰謝料の算出方法
ここでは、赤い本に従った算出方法をご紹介いたします。
入通院慰謝料を裁判基準に従って算出したい場合、いわゆる「赤い本」に算出のための表がありますので、これを利用します(なお、他にも類似書籍があるようですが、当事務所では通常「赤い本」を利用しています)。
この表は、通院期間と入院期間の長さに応じて、入通院慰謝料の額を算出する仕組みになっています。
入通院慰謝料は、表が二つあり、原則として、むち打ちのみで他覚症状が無い場合は、表Ⅱを、それ以外の場合は表Ⅰを使用します。
表Ⅱのほうが額が少なくなっています。
また、表Ⅱの場合、実通院日数の三倍までの期間を算入するという制限もあります。(ただし、その制限は必ずしも厳密に適用されているわけではないようです)
この表ですが、通院や入院の期間が長いほうが慰謝料が増えるのはもちろんなのですが、ただ、期間が長引くと、概ね、増え方は緩やかになっていきます。
例えば別表Ⅰだと、入院なし・通院だけの場合で、通院期間2か月の場合は1カ月の場合より24万円多くなっています(1カ月だと28万円、2か月だと52万円)。ところが、15カ月と14カ月の差は2万円しかありません(14か月162万円、15カ月164万円)。
この表に従う限り、「2か月通院の苦痛は1カ月通院の場合の苦痛よりかなり大きいが、15カ月と14カ月はあまり変わらない」という評価になっていることが分かります。
この「赤い本」は過去の裁判所の判断を参考に作成されたもので、これ自体に法的拘束力があるわけではありませんが、交渉や訴訟の場合に、一般的には、概ね、この表に沿った評価がされる傾向があります。
*裁判でも事情によっては、異なる判断がなされる可能性はあります。
なお、被害者側にも過失がある場合は、ここから過失相殺がされる点に注意が必要です。