交通事故で被害者が亡くなられる、いわゆる死亡事故においては、被害者のご遺族の方は、相手保険会社に対し、慰謝料を請求することができます。
この慰謝料には、大きく3つの基準がございます。
①自賠責保険基準 |
自賠責保険会社内部における基準 |
②任意保険基準 |
任意保険会社内部における基準 |
③裁判基準(弁護士基準) |
裁判所において認められる基準 |
②任意保険基準は、外部に公表されるものではないため、正確なところはわかりませんが、金額は、おおむね、①<②<③となると言われています。
①③について、以下ではご紹介します。
①自賠責保険基準
死亡事故においては、一律400万円(令和2年4月1日以降の事故の場合。それ以前の事故だと350万円)です。
※なお、自賠責保険基準では、遺族固有の慰謝料についても、請求権者を被害者の父母・配偶者・子に限定した上で、請求権者が1人=550万円、2人=650万円、3人以上=750万円としています。
③裁判基準(弁護士基準)
被害者の属性によって、以下の通り定められています。
※なお、具体的斟酌事由により増減されるべきであり、一応の目安になります。
一家の支柱 |
2800万円 |
母親、配偶者 |
2500万円 |
その他 |
2000~2500万円 |
※遺族固有の慰謝料は、認められる場合には、事案ごとに金額が異なり、具体的な基準までは設けられていません。
このように、①自賠責保険基準と③裁判基準とでは、大きく金額が異なります。
そして、任意保険会社は、被害者側に支払った金額のうち、①の金額は自賠責保険基準から回収することができるため、できる限り①に近い数字で示談しようとします。
また、ご遺族自身が、③裁判基準で相手保険会社に請求した場合でも、相手保険会社からは、弁護士からの請求でない以上、応じらないとして拒否されるケースが多いようです。
そのため、適正な慰謝料額を受け取るためにも、弁護士にご相談されることをお勧めします。弁護士にご依頼の場合は、弁護士が代理人として、裁判基準を元に交渉を行います。また、相手方保険会社からの提案が充分な金額まで上がらない場合は、ご依頼者様と協議の上、実際に裁判で請求することもできます。