加害者が任意保険に入っていない場合、被害者は泣寝入りをするしかないのか、と思われるかもしれませんが、そんなことはありません。以下のような方法が考えられますので、すぐに諦めず、まずは弁護士にご相談下さい。
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〈①自賠責に対する請求〉
まず考えられるのは、自賠責への請求です。自賠責は、通称強制保険とも言われ、法律上加入が義務付けられているので、法律を守っている運転者であれば必ず入っているはずです。そのため、任意保険には加入していないけれど、自賠責には加入しているという方が多いと思います。
もっとも、自賠責は最低限の保障をするために強制加入とされているので、賠償額の基準としては、裁判をした場合に比べて、大幅に低くなっています。
また、傷害部分についての限度額は120万円とされているため、120万円を超える損害は請求することができません(また、そのうちの多くは、保険会社から自賠責に対し、保険会社が立て替えた分の治療費として請求されてしまいます。)
そのため、有効な手段ではあるものの、損害の全てを填補することは難しいのが現状です。
- また、物損については、そもそも対象外です。
〈②加害者本人に対する請求〉
当然のことながら、加害者本人に請求することが可能です。通常、保険に加入していれば、賠償額が高額となることもあいまって、保険を利用して支払われますが、交通事故の第一次的な責任は加害者ですので、加害者に直接請求するという方法もあります。
〈③第三者への請求〉
本人に請求はできるといっても、本人が資力に乏しい場合には、十分な賠償を得ることができない場合もあります。また、無理に追い詰めてしまうと、払えないからと破産をされてしまう場合もあります。
そこで、加害者以外の第三者に請求する方法もあります。もちろん、無関係の第三者ではありません。
ここで考えられるのは、加害者の使用者(民法715条1項)や、運行供用者(自動車損害賠償保障法)に対する請求です。
簡単に言うと、使用者責任は、加害者側の自動車の運行が事業上のものであった場合に、会社等の使用者の責任を追及するということであり、民法715条に基づくものです。
一方、運行供用者責任は、自動車損害賠償保障法に基づく責任であり、運行供用者の責任を追及する仕組みです。
運行供用者とは、自己のために自動車を運行の用に供する者を言い、例えば、一般的には車の所有者はこれに当たることが多いです(所有者以外が該当することもあります)。なお、運行供用者責任は、人身損害があった場合のみであり、物損には適用されません。
その他、ご自身の保険(※ 人身傷害特約)から何らかの補償が出ないか、も確認してみると良いでしょう。
※ 人身傷害特約等、ご自身の保険から何らかの補償が出るケースがあります。
〈無保険の加害者との交渉でお困りの場合は弁護士にご相談を〉
加害者本人や、使用者、所有者等(以下「加害者等」といいます)との交渉は、かなりの手間をとられますが、弁護士にご依頼いただければ、弁護士が交渉をしますので、直接のやり取りをしないで済むようになります。
また、加害者等への請求については、事実関係を基礎に、法的な主張をしていかないといけないので、一般の方には、なかなか難しい面があると思います。
それゆえ、弁護士へのご依頼をお勧めします。