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1.被害者請求とは?
被害者請求とは、交通事故の被害者が加害者側の自賠責の保険会社に対して支払を請求することを言います。症状固定後に行う場合には、同時に後遺障害の等級認定を求めることも可能です。
2.被害者請求のメリット
もっとも、必ず被害者請求をしないといけないわけではありません。では、被害者請求をするメリットはどういうところでしょうか?
(1)後遺障害の等級認定をしてほしい場合
1.提出できる資料の違い
後遺障害の等級認定については、加害者側の任意保険会社を通して行う事前認定という方法もあります。この方法でも等級認定を得ることは可能です。しかし、その場合は、決まった資料のみが審査機関に提出されることになります。
一方、被害者請求なら、陳述書や意見書など別の資料も出せます。例えば、後遺障害診断書などの資料に加えてぜひ審査機関に伝えたいことがある場合は、被害者請求なら陳述書を出すという方法がとれます。医師の意見書などを出すことも可能です。このように、被害者請求の場合は、様々な資料の提出が可能なのが良いところです。
2.支払いまでの期間
また、自賠責であれば等級認定が取れれば、その等級に従って後遺障害の補償として一定の金額が振り込まれます。例えば、14級だと75万円がまず振り込まれます(これは慰謝料と逸失利益の分です)。12級だと、同様に224万円、10級だと461万円が振り込まれます。このように、認定が行われ次第、すぐに振り込みがされることは、事故の影響で仕事ができなくなったなどにより生活に困っている場合には重要だと思います。(ただし、本来の補償額の全額ではなく自賠責の基準に従った振り込みなので、残額は相手方任意保険会社等と交渉する必要があります)
一方、事前認定だと示談交渉を行って支払額が確定してからの振り 込みとなります。もし、すぐに示談ができずに裁判になった場合には、裁判で確定してからになるので、支払いまでかなり時間がかかってしまいます。
(2)治療中の場合
治療中の場合にも被害者請求はできます。この場合は、まだ症状固定ではないので後遺障害の認定を求めることはできません。この場合でも、被害者請求をするメリットはあります。すなわち、まず、加害者側の任意保険会社への請求は、人身分については症状固定後に請求することとなります。これに対して、被害者請求は治療中でも可能です。それゆえ、治療費を自費や健康保険で払っていて速やかに補償してほしい場合や、相手方任意保険会社が休業損害をすぐに払ってくれない場合に、速やかに支払ってほしい場合、等には、メリットがあります。つまり、交通事故に遭って治療費や休業損害のために生活が苦しくなっているような場合には、治療中に自賠責に被害者請求をすることにメリットがあると言えるでしょう。
3.過失割合と自賠責
もう一つ、自賠責に被害者請求をするメリットがあります。それは、自賠責は重過失以外、過失相殺をしないということです。すなわち、過失が7割未満の場合には過失相殺をしません。それゆえ、それ未満の過失があっても、満額で支払われます。この点は、ある程度過失がある場合には、メリットといえるでしょう。
4.その他
加害者側の任意保険会社が事故と負傷の因果関係について争う姿勢を見せていて支払いに応じてくれない場合でも、自賠責保険への被害者請求だと因果関係を認めて支払ってもらえる場合もあります。また、当初因果関係を争われていても自賠責に認めてもらった後に任意保険会社と交渉すると任意保険会社も因果関係を認めて支払ってくれるということもあります。
5.被害者請求の限界
被害者請求には上記のようにメリットが多いです。ただ、自賠責の基準に基づいて支払われるわけなので、必ずしも損害の全部を補償するものではありません。休業損害は1日当たり原則6100円と定められており、また、慰謝料も1日4300円と決められています(通院期間、通院日数により計算します)。また、後遺障害分を除き上限額が120万円となっており、怪我の程度によってはすぐに上限に達してしまいます。上限を超えた分は、加害者側の任意保険会社等に請求することになります。
6.被害者請求の相談は弁護士へ
弁護士は、交通事故の被害者請求についても代理人として手続きを行うことができます。当事務所でも、後遺障害の等級認定を求める場合や、治療中の場合等にも、被害者請求を代理人として行った経験が豊富にあります。交通事故の被害に遭い困っておられる方は、まずはご相談ください。当事務所では、交通事故については、相談だけなら無料です。平日夜9時まで、日曜日も午後7時まで相談可能なので、まずはお電話か電子メールでお問い合わせ、ご予約をお願いします。