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1 自賠責保険とは?
自賠責保険とは、自動車損害賠償保障法により加入が義務付けられている保険であり、強制保険とも言われます。車を所有している場合、必ず加入しないといけません。
それゆえ、日本を走っている自動車は本来すべての場合に加入されているはずで(実際は一部に違法に無保険の車もあると思われるものの、ごく少数です)、それゆえ、交通事故に遭った場合でも、自賠責の制度があるから大丈夫だと思っている方もいるようです。しかし、以下に述べるように、実際は自賠責だけでは充分に補償を得られないケースが大半です。
2,自賠責の仕組みと限界
自賠責は、まず、人身損害にしか適用されません。物損だけの場合はもちろん、同じ事故で人身損害と物的損害の両方が生じていても、人身傷害の補償にしか適用されないのです。
また、あらかじめ支払い基準が決まっており、かつ、支払限度額もあります。例えば、傷害慰謝料は1日4300円と決まっており、治療期間の日数分支払われることとなっています。ただし、実通院日数の2倍が限度となっています。仮に、6か月間むち打ちで通院した場合、裁判基準とも言われる「赤い本」の基準だと、表Ⅱを用いるとして、89万円の慰謝料の請求ができますが、自賠責だと、通院日数が多く通院期間だけを考えれば場合でも4600円×89日で38万2700円しか支払われないこととなり、しかも下記の支払限度額のため、その額も支払われるとは限りません。
上記のような個別の計算の他に、自賠責だと、傷害の場合の支払限度額は後遺症分を除き120万円となっていて、この中には医療機関への支払等も含まれるため、すぐに上限に達してしまい、それ以上の支払いを受けられないということも生じます。
また、後遺障害の補償も自賠責だと充分ではありません。例えば、後遺障害14級の場合、「赤い本」の基準だと後遺障害慰謝料は110万円ですが、自賠責だと32万円にすぎません。(逸失利益を合わせると75万円)
このように、自賠責だけだと充分な補償とはならない場合が大半です。ただし、自賠責は重過失の場合以外過失相殺をしないので、被害者側の過失が大きい場合において、過失相殺後の額と比べると自賠責で充分補填されているという場合がないわけではありません。ただ、そのようなケースは例外的と言えるでしょう。
3,自賠責を超える部分について
自賠責を超える部分については、通常、加害者側の任意保険会社に請求します。すなわち、傷害慰謝料(入通院慰謝料)、後遺障害慰謝料、逸失利益などの不足分を任意保険会社に請求するわけです。また、もともと自賠責の補償対象ではない物損も任意保険会社に請求することになります。
ただ、任意保険会社に入っていない場合は、加害者本人に請求することとなります。
しかし、加害者本人は充分な資力があるとは限らず、被害者は充分な補償を受けられるとは限りません。支払いを受けられない場合、訴訟を起こして判決を得る、それでも支払われない場合は財産の差し押さえを行う、などの方法がありますが、それでも全額を支払ってもらえるとは限らないのは実情です。
なお、使用者責任を追及して加害者の雇用主に請求できる場合や、運行供用者責任として車の所有者に請求できる場合もありますが、これらは場合に寄ります。
4,加害者の側から見ると
以上は被害者側から見た場合ですが、加害者になってしまった場合、自賠責しか入っていないとどうなるでしょうか? まず、物損は自賠責からは出ないため、自分で弁償しないといけません。人身についても自賠責で出る額は限られているため、それで損害額を充足できない場合、自分で支払わなくてはいけません。被害者の方に後遺障害が残ると、慰謝料や逸失利益など補償すべき額は少なくとも数百万円にはなるし、数千万円の支払いになることも珍しくありません。そうすると、不動産を手放してでも支払わないといけないし、支払えないと給与の差し押さえを受ける恐れもあります。ただ、自己破産手続きを経て免責決定を得られれば、多くの場合、支払い義務を免れることができると考えられますが、破産の場合には不動産などの資産は原則として管財人により換価されて失うことになります。また、事故の態様によっては非免責債権とされる場合もあるので、破産をすれば支払いを免れることができるとは限りません。
この点、対人、対物無制限の任意保険に入っておけば、通常の事故であれば、保険会社が支払ってくるので、事故を起こしてしまったことにより自身の生活も立ち行かなくなるという事態を防ぐことができます。
もちろん、人を死傷させてしまった場合、刑事責任は別ですが、ただ、被害が補償されていることは、保険会社による支払であっても、刑事処罰が軽くなる方向で考慮されるのが一般的です。すなわち、起訴猶予になったり、起訴されても執行猶予が付いたり、という可能性が、補償がされない場合より高まると考えられます。もちろん、事故の態様、被害の程度によっては補償がされても厳しい処罰がなされる場合もありますが、一般には補償の支払は刑事処分の軽重に影響すると考えられます。
それゆえ、加害者になってしまった場合に備えるという意味でも、ぜひ、任意保険にも入っておくべきだと考えます。事故を起こしてしまったとき期限が切れていた、引き落とし口座にお金を入れ忘れて失効してしまった、などという話も聞きますので、任意保険に加入後も加入が途切れることがないよう、注意する必要があります。
5,被害者の方のためのご相談
当事務所では、これまで、多くの交通事故案件を扱ってきました。もちろん、自賠責に対する被害者請求、任意保険会社に対する交渉、とも多く扱ってきています。
交通事故の被害に遭って悩んでおられる方は、まずはご相談ください。当事務所では、相談だけであれば、無料です。まずは、お電話か電子メールでご予約をお願いの上、立川の事務所までご来訪頂ければ、と思います。
(事情によってはまずは電話等でのご相談も可能です)