【コラム】後遺障害等級の併合

1.後遺障害等級の併合とは?

交通事故に遭って負傷し、後遺障害が残ってしまった場合、自賠責を通して後遺障害の等級認定を求めることができます。自賠責では認定された等級に応じて、後遺障害慰謝料や、逸失利益の元になる労働能力喪失率の基準が定められており、いわゆる裁判所基準でも後遺障害慰謝料について自賠責の等級を参照して金額の基準を示しています。では、交通事故により複数の後遺障害が残ってしまった場合、どのように評価されるでしょうか? 

 複数の後遺障害について併せて評価する方法を、併合といいます。以下のように、基本的には複数の後遺障害があるとまとめて上位の等級として評価するのであり、これを繰り上げと言っています。単純に、例えば12級の後遺障害慰謝料は「赤い本」だと290万円、足のケガと指の怪我の両方が12級だから合計で290万円×2=580万円というような評価方法ではなく、12級が2個だから繰り上げて11級になり、11級の後遺障害慰謝料は420万円・・・ というような評価の方法をします。

 もっとも、単純に2個同等級の後遺障害が認定されれば1等級繰り上がるというわけでもありません。以下2で、その点を簡単に解説します。

2.自賠責の後遺障害等級における併合

自賠責の等級は1級~14級まであり、複数あった場合は、以下のルールに従って併合されることとなっています。

*他に要介護1級、2級がありますが、要介護とそれ以外の等級は併合しません。

  • 5級以上の後遺障害が複数ある時は重い方の等級を3等級繰り上げる
  • 8級以上の後遺障が複数圧時は、重い方の等級を2等級繰り上げる。
  • 13級以上の後遺障害が2個以上ある時は、重い方の等級を1個繰り上げる。ただし、それぞれの後遺障害に該当する保険金額の合算額が繰り上げ後の後遺障害の保険金額を下回る時はその合算額を保険金額とする。

*例外として、等級の秩序を乱すとき等、上記の方法をそのまま適用しない場合もあります。個別のケースについてはご相談ください。

上記以外の時は繰り上げを行わないので、例えば、14級が2個あっても併合14級とはされるものの、等級自体は繰り上がりません。また、12級と14級というように、13級以上の後遺障害と14級の後遺障害がある場合も併合しても、重い方の等級がそのまま残るのみであり、繰り上がりは生じません。

14級が複数の場合も被害者から見ればそれだけ精神的苦痛が増していたり仕事の能力に影響が出ていることはあり得ますが、現状では、14級の後遺障害が複数あっても、14級が1個だけの場合とあまり変わらない扱いがされることが多いようです。

   ただし、裁判所は自賠責の認定に縛られるわけではなく、独自に精神的苦痛や仕事への影響を認定して慰謝料や逸失利益の額を認定することができるので、逆に言うと、14級が複数の場合でも被害者側で精神的苦痛や仕事への影響を主張、立証し、14級の標準的な慰謝料や労働能力喪失割合を超えた損害を認めてもらうということも考えられます。しかし、そのためには、症状、後遺症の仕事への影響、収入の低下、今後の回復見込みが低いこと、などを丁寧に立証する必要があり、単純に14級が複数あることのみを理由に14級が1個の場合より多めの慰謝料や大きめの労働能力喪失割合を認めてもらうことは難しいと考えられます。

このように、複数の等級の認定がされた場合でも、13級以上の後遺障害が複数ある場合と、14級のみ、または14級と13級以上が1個ずつ、の場合では併合で繰り上がるかという点で大きな違いがあり、また、等級によっていくつ繰り上がるかに違いがあるため、ご自身のケースについて注意深く当てはめることが必要です。

3.後遺障害についてのご相談は弁護士へ

後遺障害がある場合、入通院慰謝料等に加えて、後遺障害慰謝料、逸失利益を請求できるため、請求できる金額も大きくなりがちです。それゆえ、相手方保険会社から提示があった場合、その金額が妥当かどうか、よく検討しないと、本来補償されるべき金額よりかなり低い提示になっていることも考えられます。その点、弁護士にご相談いただければ、本来どの程度の金額が請求可能か、ということを理由とともに説明させていただき、また、ご依頼頂いた場合は正当な額での補償を支払ってもらえるよう、相手方保険会社との交渉や訴訟を代理人として行うことができます。

 もちろん、等級の併合の有無やそれによる繰り上がり、その場合の慰謝料等の計算方法など、複雑な問題についても、交通事故案件に慣れている弁護士なら、専門的知識に基づいて対応することができます。

多摩中央法律事務所では、これまで多くの交通事故案件を扱ってきました。もちろん、後遺障害がある案件についても、多数交渉や訴訟の経験があります。

被害者の方がご相談頂きやすいよう、交通事故については被害者の方からの相談は、相談だけなら無料とさせていただいております。ご相談ご希望の方は、まずはお電話か電子メールでご予約の上、立川の事務所までご来訪ください。

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