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1.交通事故の民事訴訟とは?
民事訴訟とは、私人間の争いに関する訴訟のことを言います。すなわち、損賠賠償の支払いを求めたり、貸していたお金の返済を求めたり、土地の明け渡しを求めたり、など、個人と個人、あるいは個人と企業、など、民間の間での争いを民事訴訟と言います。交通事故でいえば、被害者が加害者に対して、損害賠償の支払いを求めて提訴する、のが典型的な事例です。民事訴訟は、相手方に何らかの請求をしたいと考える人が裁判所に訴状を出すことで始まります。もちろん、必ずしも自分で直接行う必要はなく、弁護士に訴状の提出やその後の訴訟行為を委任することができます。
これに対して、刑事訴訟は、検察官が被告人に刑罰の適用を求めて起訴した場合に始まるものであり、交通事故でも事故の程度が重大である場合等には検察官の判断で刑事訴訟が行われることがあります(他に、検察審査会による強制起訴という制度もありますが、実際に適用される事案は稀です)。このように、刑事訴訟は検察官(稀に検察審査会)の判断により始まるものであり、被害者といえど、私人が起こすことはできません。もっとも、刑事訴訟はこの記事では主なテーマではないので、詳しい話は書きません。
ここでは、民事訴訟がどの裁判所で行われるかについて、解説します。
2.民事訴訟の事物管轄、特に交通事故の訴訟について
民事訴訟は、特殊なものを除いて、最初は地方裁判所か簡易裁判所に提起します。原則として、訴訟物の価額が140万円を超える場合は地方裁判所、140万円以下の場合は簡易裁判所に提起します。このように訴訟物の価額によって最初に提起すべき裁判所の種類が決まっています。これを事物管轄と言います。
交通事故の場合は、人身事故だと多くの場合元本が140万を超える請求となり、地方裁判所が第1審の管轄となります。ただ、物損だけだとそれほど請求額が大きくならず簡易裁判所の管轄となる場合も多いです。
3.民事訴訟の土地管轄、特に交通事故の訴訟について
一方、地方裁判所、簡易裁判所は全国に多くあります。では、どの裁判所に訴訟を提起できるのでしょうか。これを決めるのが土地管轄です。民事訴訟では、通常、被告の住所地を管轄する裁判所となります。ただ、持参債務と言って、債務者が債権者にもっていくことが原則とされている債務については、債権者の住所地を管轄する裁判所にも管轄があります。さらに、不法行為を巡る裁判については、不法行為が行われた場所を管轄する裁判所にも管轄があります。
そうすると、交通事故の損害賠償請求権は持参債務なので、被害者の住所地にも管轄があることとなり、また、交通事故は過失による不法行為と解釈されるので事故現場を管轄する裁判所にも管轄があります。さらに、原則通り被告(事故の加害者)の住所地を管轄する裁判所にも管轄があります。したがって、交通事故の民事訴訟の場合、被害者(原告)は加害者(被告)の住所地を管轄する裁判所、事故現場を管轄する裁判所、被害者(原告)の住所地を管轄する裁判所、以上いずれの裁判所でも訴訟を提起することができることになります。
ご自身の住所地を管轄する裁判所に提訴すれば実際に出廷する場合には便利だと思いますが、弁護士にご依頼の場合は、その弁護士の事務所から近いところの方が良いということもあると思うので、どこの裁判所を選ぶかは依頼している弁護士にまかせればよいと思います。もっとも、最近は地方裁判所の場合は期日のweb化が進んでいるので、以前ほど出廷の際の利便性を考えなくてもよくなりました。
ただ、簡易裁判所についてはまだ直接出廷しての期日も多いので、管轄がある裁判所の中から実際に提訴する裁判所を選ぶ際には交通の便も考えたほうが良いでしょう。
4.交通事故の訴訟は弁護士にご相談を
交通事故の訴訟については、ぜひ、弁護士にご相談ください。訴訟は交渉にもまして事実関係を詳細に把握して法律的な構成をしっかり組み立てていく必要があります。それゆえ、一般に、法律の専門家である弁護士に依頼したほうが望ましいと思います。
当事務所でも、交通事故の訴訟の代理人を務めた経験が豊富にあります。交通事故の被害に遭い困っておられる方や交通事故の訴訟について悩んでおられる方は、まずはご相談ください。当事務所では、交通事故については、相談だけなら無料です。平日夜9時まで(電話受付は午後7時まで)、日曜日も午後7時まで相談可能なので、まずはお電話か電子メールでお問い合わせ、ご予約をお願いします。