交通事故で車に損傷が生じた場合、修理費用・代車費用の他に、評価損害が請求できるケースがあります。
今回は、どういった場合に評価損害が請求できるのか、説明します。
評価損害とは、簡単に言うと、<修理しても回復することができない車の価値>をいいます。
これは、修理技術上の限界から、自動車の性能などに支障がでて、車の価値が減少する場合もありますが、ケースとして多いのは、修理をして外観上は原状回復しているが、市場においていわゆる事故車両であるとして、価値が減少する場合が多いです。
このような、取引市場における価値減少は、目に見える損害ではないため、立証が困難です。
裁判例上は、初度登録からの期間、走行距離、修理の程度、車種などを総合考慮の上、評価損害が発生しているか否かについて判断がされます。
特に重要なものは、①初度登録からの期間②修理の程度③車種の3点です。以下の表を参照ください。
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評価損害が認められやすい |
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評価損害が認められにくい |
① |
短い |
⇔ |
長い |
② |
骨格部分まで及んでいる |
⇔ |
骨格部分に及んでいない |
③ |
外国産車両、国産人気車種 |
⇔ |
国産一般車両 |
①の期間が長い短いは、③車種とも関係しますが、一般に外国産車両・国産人気車種は初度登録から5年、国産一般車両は初度登録から3年を超えると、評価損害が認められにくいと言われています。
そして、評価損害が認められる場合の、その金額ですが、修理費用の1~3割として認定されるケースが多いです。
日本自動車査定協会が、事故減価額証明書を発行しており、これをもって、評価損害を請求しているケースも散見しますが、裁判上は認定されていない傾向にあります。
上記のように評価損害は、目に見えない損害であることから、保険会社は購入直後の車両や骨格部分に及んでいる場合でないと、争ってくることが多いです。
争われた場合には、裁判上で請求せざるを得ないケースもあるため、評価損害が請求できる場合か否か、弁護士にご相談されることをお勧めします。