【コラム】自営業者の休業損害…2個の問題点

1, 自営業者の休業損害について

自営業者とは、被雇用者ではなく、自ら事業を行なって生計を立てている人のことを指し、いわゆる個人事業主のことです。法人になっていると、また異なる論点があるので、法人化している場合についてはまた別のページで触れることとし、この記事では、個人で事業をしている場合について述べることとします。

2, 自営業者の休業損害の算出に関する基本的な考え方

休業損害の算出方法として、会社員など給与で生計を立てている場合は、事故前3か月間の収入を元に1日当たりの賃金を算出し、それに休業日数をかける、という方法で算出ができます。
一方、自営業者の場合、前年度の申告を元に基礎収入を算出し、休業期間をかける、という方法で算出します。

3, 自営業者の休業損害を算出する場合の2個の問題点

① 基礎収入の算出方法について

前年度の申告を元に基礎収入を算出するわけですが、売り上げをそのまま基礎収入とするわけには行きません。なぜなら、経費が発生しているはずだからです。基本的な考え方としては、売り上げから経費を引いたものが所得になるわけですが、この所得を基礎収入とすればよいかというと、これも不都合が生じます。なぜなら、休業していても固定経費はかかるからです。そこで、所得と固定経費を合計した額を基礎収入とする、ということになります。
もっとも、どれが固定経費で、どれが変動経費か、ということを実質的に考えると線引きが難しいところもあり、必ずしも割り切れるものではありません。個々のケースに応じて丁寧な検討が必要です。 

② 休業日数について

自営業者の場合、会社員のように勤め先に休業証明書を発行してもらうというわけにはいきません。そこで、休業日数の立証をどうするか、という問題が生じます。また、実際、完全には休業していなかったけれども療養のために短い時間しか業務ができなかった、とか、自宅兼オフィスで少しだけ仕事をしていた、というようなケースも珍しくありません。
そこで、完全に休業していた場合は、基礎収入に日数をそのままかけるとしても、部分的な休業であった場合には、休業せざるを得なかった比率をかけて計算するという形をとらざるを得ません。例えば、事故から1か月は100%、1か月後~3か月後は50%、以後症状固定までは10%、というような比率を考えて、それに基づいて計算するわけです(上記比率はあくまで一例です)。その比率は、その期間の症状をおもな要素として決めることになるので、診断書やカルテが重要になってきます。もっとも、交渉の段階ではカルテの開示請求までは行なわずに、診断書をおもな資料として検討することも多いです。その他、物損事故に関する資料(車の損傷が甚だしい場合は負傷の程度も甚だしいことが推測できる)、本人陳述書、なども休業の必要性を根拠づける資料となるでしょう。
実際の休業の状態を証明することは個人事業主の場合なかなかむつかしい場合も多いですが、このように様々な資料を用いてどの程度休業を強いられたか、を推認することはよく行われています。

なお、上記のような方法を採らずに、単純に、事故前の年と事故のあった年の基礎収入を比べるという方な方法も考えられなくもないです。しかし、そうすると、事故が起きた年は事故のあった日から事故の影響が出てくるわけで、その所得が事故後の状態を表しているとは言い切れないので、このような方法はあまり採られません。

4, 自営業者の方が休業損害で悩んでおられる場合は

自営業者の休業損害の計算は複雑です。申告資料から基礎収入を算出するという経理の知識が必要な作業もあれば、休業日数の計算においては事実認定と当てはめという法律的な考え方も必要となってきます。複雑で手間のかかる作業なので、ご本人様が行うよりは、ぜひ、交通事故に詳しい弁護士にご依頼頂ければ、と思います。
この点、多摩中央法律事務所では、多くの交通事故案件を扱ってきました。もちろん、その中には、自営業者の方の休業損害が争点となったケースも多くあります。当事務所が交通事故案件を扱い始めた比較的初期から、最近に至るまで、自営業者の方の休業損害の請求を行なった案件は珍しくありませんが、当事務所の弁護士は、その一つ一つにおいて、丁寧な分析と交渉を心掛けてきました。自営業者の方で休業損害のことで悩んでおられる方は、ぜひ、当事務所にご相談ください。

交通事故のご相談は、経験豊富な弁護士へ!

無料相談ご予約・お問い合わせ

 

ページの上部へ戻る

トップへ戻る

HOME Mail Tel