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交通事故の損害賠償請求とは?
交通事故の被害に遭った場合、治療費、通院交通費、入院雑費、入通院慰謝料、休業損害、後遺障害慰謝料、逸失利益、など様々な損害について請求できます。また、物損については車の修理代(ただし全損の場合は車の経済的価値)、代車費用、評価損、などが請求できます。ただ、上記のどの項目を請求できるかは、実際に生じた被害に基づいて決まってきます。
また、上記のうち治療費は相手方任意保険会社が直接医療機関に支払う場合も多いですが、計算上損害賠償の一部とされるので、被害者側にも過失がある場合には最終的に過失相殺対象となってしまいます。
どのタイミングで請求するか?
上記のように様々な項目があるわけですが、それぞれいつ請求するのでしょうか?
まず、物損については損害が明らかになれば請求できるため、比較的早い段階で請求することが多いです。人身に先んじて物損だけ示談することも珍しくありません。ただ、ここでの過失割合についての合意が後々人身の過失割合の評価に影響することもありうるので、注意が必要です。
次に、人身傷害のうち、治療費は相手方保険会社が医療機関に直接払うケースが多く(これを「任意一括」といいます)、その場合は特別な手続きは必要ありません。ただ、数か月程度で打ち切りを伝えられる場合もあり、その場合は継続のために交渉するか、自費(健康保険は「第三者行為による傷病届」を出せば使えます)で支払って治療終了後に相手方保険会社に請求することになります。ただし、任意一括対応終了後の治療費についても相手方保険会社が支払いに合意するかはケースに寄ります。
通院交通費は公共交通機関を使う場合は自費で払って症状固定後に請求する場合が多いですが、タクシー代は自己負担だと家計に影響が大きいので、支出後すぐに請求する場合も多いです。ただし、タクシー代は実際にタクシーを使った証拠が必要で、かつ、タクシーで通院する必要性が認められないと支払ってもらえません。すなわち、実際にタクシーで通院したということのみならず事故での負傷による症状が重かった等の理由で公共交通機関で通院することが困難であったことを示す必要があります。なお、公共交通機関を使った場合の実費や自家用車を使った場合のガソリン代(1km当たり15円で計算)は通院の必要が認められれば交通費も基本的に認められます。
また、休業損害については、生活に必要な補償なので、治療中でも月1回など定期的に振り込んでもらうケースも多いです。ただ、この段階では最終的な過失割合も決まっておらず、また、相手方保険会社から見ると事故と休業の因果関係についても精査せずにとりあえず支払っているという考えがあり、しばらくした段階で打ち切りを伝えてくるケースも多いです。その場合、継続を求めて交渉しても応じてもらえなければ、残額は別途症状固定後に交渉して支払ってもらうことが考えられます。なお、この段階では過失分を考慮せずに支払われていたとしても、のちに示談の際には被害者の過失に相当する分を補償額全体から差し引くこととなる場合があるので、要注意です。
入通院慰謝料は、怪我そのものに対する慰謝料であり、障害慰謝料とも言いますが、その請求は通常は症状固定後にします。なぜなら、入院や通院の期間に応じて金額が決まるため、症状固定を待たないと金額が確定できないからです。なお、後遺障害の等級認定を求める場合は、入通院慰謝料など等級認定にかかわらず請求できる部分についても等級認定の結果をみてからまとめて交渉するのが一般的です。
後遺障害慰謝料と逸失利益は、症状固定後に残った症状に対する補償なので、症状固定後してからの請求となります。症状固定後であるのはもちろん、後遺障害等級認定がされてから請求するのが一般的です。もっとも、自賠責の等級認定がされなくても理論的には請求できる場合もあるのですが、任意交渉では等級認定後でないとまず支払ってもらえません。そこで、被害者請求等で自賠責の等級認定を得て、それからその等級に従った後遺障害慰謝料と、その等級に応じた労働能力喪失率で計算した逸失利益を請求するのが通常の手順です。なお、自賠責の認定結果に納得がいかない場合は異議申立てが可能です。
このように、補償の項目により、交渉の時期は異なってきます。なお、交渉しても合意に至らない場合は、民事訴訟で解決するという方法もあります。訴訟は症状固定後、(後遺障害認定を求める場合は)後遺障害等級認定が終わってから交渉して、それでも合意に至らない場合に行うというのが基本です。ただし、等級認定を巡る手続きが長期化した場合に時効の完成を防ぐために後遺障害と関係ない部分について先に提訴することは理論的には考えられるでしょう。ただ、それは例外的で、通常は、等級認定まで終わってから交渉がうまくいかなかった場合に、訴訟へ進むということになります。
ちなみに、物損は3年、人身は5年で時効にかかってしまうので、治療や交渉が長引いている場合は注意が必要です。後遺障害については症状固定日が起算点ですが、症状固定日自体が争点になりうるので要注意です。
自賠責への被害者請求
自賠責への被害者請求は治療途中でも可能であり、慰謝料なども自賠責の基準に従って支払ってくれるので、治療が終わるまで待っていると家計が厳しいという場合には自賠責への被害者請求を治療中に行うことも考えるとよいでしょう。その場合でも終了後に改めて後遺障害等級認定を求めて被害者請求をすることが可能です。
まずは弁護士にご相談を
このように、交通事故の損害賠償請求は、最後にまとめて行うこともできますが、治療中に休業損害や通院交通費等、また、治療費の打ち切り等について相手方保険会社と交渉することもあります。そのような点も含めて、早いうちから法律の専門家の力を借りたい場合は、ぜひ、弁護士にご相談ください。
当事務所では、長年交通事故の被害者救済のために業務を行ってきました。交通事故のことで悩んでおられる方は、ぜひ、ご相談ください。当事務所では、交通事故については相談だけなら無料です。まずは、お電話か電子メールでご予約の上、立川の当事務所までご来訪をお願いします。なお、事故による負傷等ですぐに来訪が難しい場合はまずはお電話などで相談対応させていただくことも可能です。